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今日読んだ本のことを語る

『ハイン 地の果ての祭典 南米フエゴ諸島先住民セルクナムの生と死』アン・チャップマン・著/大川豪司・訳

失われた文化の本だと知っていたのに、セルクナムの神話体系とその演劇・儀式表現の魅力に引き込まれ、最後に彼らが滅んでしまう段はつらいものがあった。セルクナムの壮大な男と女の騙し合いに基づく神話は、レオ・フロベニウスがアフリカで現地の吟遊詩人たちから採取した物語集『ブラック・デカメロン』を彷彿とさせる。かつて女が社会を支配していたというのはもしやアマゾネスで、セルクナムの先祖は彼女らの支配地から逃れてパタゴニアに辿り着いたのでは、などといろいろ想像するが、それを確かめる方法はもはや永遠に失われてしまった。