【博士と狂人】【勝手に引用】【こういうの最近もあったよね】
サミュエル・ジョンソン編纂の辞書について
>(……)だが、辞書編纂を始めたのは文壇の巨匠たちの要求に応えるためでもあった。すなわち、英語をなんとかしなければならないという要求である。
ほとんど誰もが、こうした不満を訴えていた。ジョゼフ・アディソン、アレグザンダー・ポープ、ダニエル・デフォー、ジョン・ドライデン、ジョナサン・スウィフトというイギリス文学界の有力者たちが、それぞれ声を大にして英語を固定する必要を訴えた。それ以来、「固定」という言葉は辞典編纂の専門語となったのだが、その意味するところは、英語の制限を定め、語彙の目録をつくって体系化し、「英語とは何かを厳密に決める」ことだった。英語の本質にたいする彼らの考え方は、きわめて独断的だった。彼らの主張によれば、英語は一七世紀の初めまでに充分に改良され純化されたため、今後はそのまま固定するしかなく、そうしなければ英語の質
は悪化するというのであった。
彼らはイギリス海峡の向こうのアカデミー・フランセーズの会員とおおむね意見を同じくしていた(ただしそうとは認めたがらなかっただろうが)。国家の標準言語を定め、規則をつくって、銀に彫りつけ石に刻んだように確定するべきだと考えたのだ。そのうえで変更が許されるかどうかを、偉大なイギリス版アカデミー会員、つまり英語の権威が決めるべきだと彼らは主張した。 (p.109)
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