暗い嵐の夜だった…
「ほんとはこんなこと…しちゃいけないんだよね」
目の前でそう云われた。どぎまぎしながら、うん、そうかもしれないね、と頷く
「でも、ほら、夜は長いから…ね?」
袋を破る音がする。でも暗いのでよくわからない。暗いから赤面してるのも相手には伝わらないかもしれない。それが唯一のありがたいところ。
「なに、してるの?」
「ふふ、教えない。なんだと思う?」
戸惑っていると追い討ちをかけるように
「さっきちゃんと歯磨きしたよね?」
との確認のあと、口あけて?と小声で命令される。従わないわけにはいかない口調で。
そのあと、口の中にキットカットが放り込まれた。
ああ、お腹が鳴ったのを感づかれたのだ。
しかしどうして歯磨き後のキットカットはこんなに美味しいのだろう。
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Tips:書きやすい書き方が、読みやすい文章になるというものではない。時には読む側の目になって自分の書き物を見直してみよう。
「暗い嵐の夜だった…」から始まる超短篇のことを語る
「暗い嵐の夜だった…」から始まる超短篇のことを語る
暗い嵐の夜だった。
彼は音もなく、入ってきたんだ。だからぜんぜん気がつかなかった。蒸してもいたから、パンツ一枚で寝てたのが悪かった。ひょっとしたら脱ぎ捨てた衣服がそこらへんに散らばってたから、彼はそれを丹念に嗅いでいたかもしれない。ともかく僕は彼に気がつくのが遅かったんだ。
ベッドサイドに近づいたのはなぜだか判らない。で、僕の足に小さな、ほんと小さな感触があった。ひょっとしたら彼はおそるおそるそこから触れたのかもしれない。そこで気がつけばよかったんだけど、判らなかったんだな、僕は。その反応をみた彼はその反応に満足したのかもしれない。足の付け根を経て僕の身体の上を這い上がってきたんだ。
そう、そのときそのときやっと気がついた。
彼はGだったんだ。
/「暗い嵐の夜だった…」から始まる超短篇