「生姜饅頭(最近の母の一押し)あります。」というメールにうまうまと実家を訪ねると、おこたの上に藤木直人が表紙を飾るステラが乗っていました。「お?」っと思う間もなく
母「この人!藤木直人!観てる?!」
私「観てる観てる!」
正確には観ているのは平清盛であって藤木直人ではないのですが、母は藤木直人を主に観ているようです。
母「かっこいいわぁ!かっこいいわぁと思っていたら藤木直人だったのね!あの武士!」
私「うんうん!かっこいいよねぇ。品があって、知性的で、落ち着いていて!」
母「歌をね!詠むのよねぇ!あれがまた、ステキねぇぇぇ♡」
その後、平清盛は最近見始めたらしい母に佐藤義清情報を補足したりしつつ、生姜饅頭をいただきました。
しかし、義清の歌は現代人も十分射落とせるんですねぇ。すごいわぁ。なんたってすごいわぁ。
お昼にたこ焼きとお好み焼きを持っていったら、贅沢な旅とかいうテレビ番組を観ていました。鬼怒川へ向かう藤波夫妻を見て
母「…ずいぶん逆毛を立ててるわね。ボリュームを出しているわ。」
母に最近の小倉さんを見てほしい。ぜひ一言聞きたい。
「今日は(も)『チューボーですよ』みるの!」と言っていたけど、なるほどね。伊勢谷祐介か…。
何故か他人の親切心を呼び覚ます能力が自動発動の母。今日も光琳屋敷の警備員さんのスイッチを入れてしまい、「尾形光琳〜選ばれた者、その人生と才能〜」を滔々と滔々と滔々と滔々と聴かされました。
お話の間中、母は両手を胸の前(もう顎につかんばかりの高さ)で組んで、目をキラキラさせて、圧倒的かつ完全なる同意と尊敬のうなずきと相づちを放ち続けました。しばしばつま先立つ程です。
お話が終わると拍手をし、大感激でお礼を言う母。警備員さん、やりきった!という達成感溢れる笑顔。
私たちも楽しい一日を過ごしましたが、警備員さんにとってもいい日になったと思います。
部屋に出た蜘蛛を「ヤッチマイナー!」と言うので、「そんなことはないとは思うけど、もしもお母さんが死後地獄に堕ちるようなことがあった時には助けてほしいと思うので、私は蜘蛛は殺しません。」と伝えると
「じゃぁ、半殺しに」と言われました。
インタビューに答えるカメラ女子を見ながら
私「今の人、おでこのしわ、深かったね」
母「ね!」
母「…ふふん」
私「何?」
母「他に若い人いなかったのかね」
昨日、確かに声がガラガラに枯れて、倦怠感溢れる寝姿で、歩けば足取りに力がなかった母。午前の仕事の後お見舞いがてらいろいろ買って実家に行ってみたら、既に回復していました。
超人?
夕方寄って、狂言観て、所さんの目がテン観て、のんびりゆったり路線バスの旅観て、もしつあ観て帰ってきました。ところで
「甘いもの何もないから…」と、きな粉餅を出してくれた流れで、鯵の南蛮漬けと「ごはんがすすむ君」を出してくるのは何故でしょうか。
食べたけど…。
昨日、実家を訪れると、母不在の室内に入れ歯が上下ともに残されていた。
「ただいま!」と帰ってきて、今日のお出かけの顛末を意気揚々と話しながら階段の方に消えて行ったので、なんとなく見に行くと、お手洗いのドアが全開だった。「閉めなよ」というと「もう、終わった」とのこと。
母の好きなイケメン
・伊勢谷友介(ツートップの一人)
・北村一輝(ツートップの一人)
・向井理(げげの人と呼ぶ。忘れつつある)
・高良健吾(おひさまの人。たぶん忘れる)
・平岡祐太・三浦春馬(もう過去になったご様子)
・福山雅治(潜在的に好きだったようだが、紅白でK点越えしたらしい)
電車の中で「帝劇への誘い」という小冊子を読んでるなーと思っていたら、突然目をきらんとさせて「ちょっと!これ!」
指差す先には「…トート<死>役に山口祐一郎・内野聖陽のダブルキャスト…」
うんうん。私もそれは観たかったけど、今となっては叶わぬ夢です。
「前回のトートは(お母さんの好きな)若手超イケメンだったんだよ。評判よかったから今回もそうだといいね」と吹き込んでおきました。
私「今朝ねぇ、猫がお布団に入ってきたんだけど、いつもは腿から脹ら脛に背中を乗せるみたいにひっつくのに、今日は両手で膝を後ろからぎゅっつ抱えて顔をくっつけて寝たんだよ」
母「………」
私「(なんだ?何か目がキラキラしてるような?)」
母「………」
私「(なんだ?ほっぺも少し赤いような?)」
母「…か、かわいいわねぇ♡」
私「うん」
想像してたのか
昨日、横浜にぎわい座で「歌丸円楽二人会」を聴いてきた母。
私「それで、どんな噺だったの?人情話みたいなの?」
母「えっとね。ゴミをね、なんとかいう仕事の人がいて…(職業名を思い出すまで数分)それでね、仏像を買って売って洗ったら…(主人公以外の人間が断りなしに数名出てきて混乱)…それで、20文が500両」
私「高くなり過ぎじゃない?」
母「500文」
私「………」
そんなわけで、やっと聞いた筋は母の語りでも面白くていい噺で、ちゃんとしたのを聞きたいなと思いました。
お昼に向かい合ってちゃんこ定食を食べていたら、突然隣のテーブルの奥様二人連れに「横から失礼します。“池上”」と言いました。
*お隣の二人連れの会話が丸聞こえだったのですが(すっごく声が大きくて)、大田区辺りの梅のきれいな、お会式が有名ななんとか本門寺というのが思い出せずにいたので、見るに見かねて(っていうか、オバハン力炸裂で)教えてあげたらしいです。
私が山種美術館に行くつもりと言っていた話を持ち出して、一緒に行くという母。そうと決まれば早い方がいいから明日行こうという母。山種の後、元気が余っていたら江戸東京博物館の「ヴェネツィア展」に寄り道したいという母。
私「じゃぁ、明日は山種じゃなくて、ヴェネツィア展に行こうよ」
母「あら!いいのに」
一日でも早く行きたいのは、そっちなんでしょ。冷蔵庫にもメモが貼ってあるし。
「ベネチア とうきょう」
今朝、ゴミ出しに外に出たら玄関先にネズミさんの亡がらがあったそうだ。
母「褒めてもらおうと思って持ってきたのかしらね」
私「野良ちゃんが?」
母「そうかもよ。デキル猫だってアピールしにきたのかも」
私「そうだねぇ。寒くなる前に飼い猫になりたいのかもよ。就活してるんだね。」
母「そんな賢い猫ならいいわねぇ」
じゃぁ、飼ってあげてー。何匹も庭にいるじゃん。