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id:hide-psy
小説の始まり方のことを語る

家庭の危機というものは、台所の天窓にへばりついている守宮のようなものだ。
それは何時からと云うことなしに、そこにいる。

(庄野潤三「舞踏」)

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せっかく書いていただいたのに今日まで気づかずにおりました。今更ですがありがとうございました。

id:ckagami
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ハンターがモンタナ州の外に出るのは、これが初めてだった。目覚めても、数時間前の光景にまだ圧倒されていた。ばら色に照らされた積雲を上昇したときのようす、雪に閉ざされた谷に深く埋まる点のような家と納屋。はるか下で移り変わる地上は十二月そのものだった――茶と黒の丘には白い雪の筋があり、凍結した湖は輝き、谷底には長い三つ編みを思わせる川がきらめいていた。翼の上の空は青さを深めて澄み、見つめすぎると涙がこぼれそうだった。

アンソニー・ドーア「ハンターの妻」『シェル・コレクター』新潮社、2003年所収

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わたしが思うに,この世でもっとも慈悲深いことは,人間が脳裡にあるものすべてを関連づけられずにいることだろう。
 
H.P.ラブクラフト「クトゥルーの呼び声」

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ジャン・ジュネの『花のノートルダム』の始まりがすごくかっこよかった記憶があるのだけれど、本が手元になくて書けない。

id:quadratus
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ある朝早く、スナフキンは、ムーミン谷のテントの中で、目がさめました。あたりは、ひっそりしずまりかえっていました。しんみりとした秋のけはいがします。旅に出たいなあ。
ほんとにふいに、どこもここも、しんみりとしてきたのです。あたりのようすは、もう、なにもかも、いままでとは、がらっとかわっていました。旅に出ようと思いたった人には、いっときいっときが、身のちぢむ思いでした。
(トーベ・ヤンソン『ムーミン谷の十一月』)

id:Moriyama
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それは-≪異形≫であった。
(栗本薫『グイン・サーガ1 豹頭の仮面』)

最初に読んだ時は体が震えた。現在の体たらくがまるで想像できないorz

id:Moriyama
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腹上死であった,と記載されている。
(酒見賢一『後宮小説』)
いろいろ小説読んだけど出だしのインパクトは一番。

id:happysweet55
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『逃亡くそたわけ』
どうでもいいのですが、この小説のタイトルはまるで自分のようだ。
と、思った人、挙手またははてなスターつけて!
「はいっ!(ここに少なくとも一人います)」

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この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界の方はあまりきみのことを考えていないかもしれない。
(池澤夏樹「スティル・ライフ」)

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The world is full of little towns that people want to leave, and scarcely know why.
(Fay Weldon "Growing Rich")

id:spectre_55
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この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを入れる容器ではない。
世界ときみは、二本の木が並んで立つように、どちらも寄りかかることなく、それぞれまっすぐに立っている。
きみは自分のそばに世界という立派な木があることを知っている。それを喜んでいる。世界のほうはあまりきみのことを考えていないかもしれない。

でも、外に立つ世界とは別に、きみの中にも、一つの世界がある。きみは自分の内部の広大な薄明の世界を創造してみることができる。きみの意識は二つの世界の境界の上にいる。
大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ二つの世界の呼応と調和をはかることだ。
たとえば、星を見るとかして。

(『スティル・ライフ』池澤夏樹)

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魯(ろ)の卞(べん)の游侠(ゆうきょう)の徒、仲由(ちゅうゆう)、字(あざな)は子路という者が、近頃(ちかごろ)賢者(けんじゃ)の噂(うわさ)も高い学匠(がくしょう)・陬人(すうひと)孔丘(こうきゅう)を辱(はずか)しめてくれようものと思い立った。
(『弟子』中島敦)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/1738_16623.html

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いつれの御時にか
女御更衣あまたさふらひ給けるなかに
いとやむことなききはには
あらぬかすくれてときめき給ふありけり・・・
(紫式部/源氏物語)

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まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。
(司馬遼太郎「坂の上の雲」)

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プリベット通り四番地の住人ダーズリー夫妻は、「おかげさまで、私どもはどこから見てもまともな人間です」というのが自慢だった。不思議とか神秘とかそんな非常識はまるっきり認めない人種で、まか不思議な出来事が彼らの周辺で起こるなんて、とうてい考えられなかった。
(J.K.ローリング「ハリー・ポッターと賢者の石」)

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 セッションは、リード・トーカーの、「おはよう」で始まった。
 アンサラーは、間髪を入れず「おはよう」と答えた。
(草上仁 「お喋りセッション」)

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 いつのまにか、それが何を意味しているのか、わからなくなってしまった。だからといって、別に困っている訳でもないんだ。すこし寂しくはあるけれどね。
(北野勇作 『昔、火星のあった場所』)

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堂島川と土佐堀川がひとつになり、安治川と名を変えて大阪湾の一角に注ぎ込んでいく。その川と川がまじわる所に三つの橋が架かっていた。昭和橋と端建蔵橋、それに舟津橋である。(宮本輝「泥の河」)

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いづれの御時にか女御更衣あまたさぶらひたまひけるなかにいとやむごとなき際にはあらぬがすぐれて時めきたまふありけり