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花うさぎのことを語る
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 こんばんは^^ 今週までは私が代行で本文投稿いたします。 では、どうぞ♪

  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 14話------
  •  夕方シフトなのだから当然だが、店にはむろん彼がいる。店長はお客様がいらっしゃるのに大欠伸でわたしの顔をみて、んじゃ任せた、と手を振って帰っていった。彼はその背を見送ってすぐ隣に立った。
    「風邪、平気ですか。なのに昨日は引き止めようとしてすみません」
    「いえ、こちらこそ。休みましたから平気です」
     わたしは目を合わせず返した。なぜ彼がいつも謝るのかがわからない。と考えて、こちらが先に…[全文を見る]

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こんばんは! 今夜は機材故障のid:florentine(磯崎愛)さんに代わりましてusauraraが本文投稿いたします^^

  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 13------
  •  あからさまに息を詰めた僕にも彼女は頓着しなかった。やわらかな声で、だってあたしだけ話すなんて恥ずかしいじゃない、と続けた。腹立たしくはなかったが、彼女のそういう態度が可笑しかった。手強いと賞賛すべきか、はたまた弱みを見せたがらない負けず嫌いを難詰すべきなのかどうかさえ、わからない。それでも隠しおおせるとは思えなかった。だから、
    「君のことを想うのと同じ…[全文を見る]

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-----『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 12------
 
 
 翌朝、わたしの顔を見ると同時に、おまえ家かえって寝ろ、と店長が顔をしかめた。夕方シフトに間に合うように来い。今日はシゴトはいってないだろ。頷いたのを確認し追い払うように片手をふった相手に頭をさげた。徹夜がこたえたわけではなく胃が痛む。気づいてみると、依頼人である彼女の極めてプライヴェートな事柄を教えてしまったのだ。知られなければいいという問題ではない。しかもその理由はまたしてもわが身可愛さにあって、誰のことも大事にしていない。じぶんの感情に振り回され…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 11------
  •  
     
    「仕事の帰りですか?」
     自転車をおした彼の顔は見たこともないほど赤かった。わたしの視線に気づいてか、
    「おれのほうは会合のあと飲み会で」
    「べつに、それは」
     わたしは顔をそむけた。いま誰かと話したい気分ではなかったし、事情を問われて疚しさがました。それに、彼の動向に注意を払っていたと思われたようで癪だった。
    「家、こっからだとかなり遠くないですか」
    「平気です。もう遅いのでこれで」
     わたしは頭をさげた。けれど、彼は横に並んだ。
    「送ります」
    「わたしは婦女…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 10------
  •  
     
     剥き出しの「階梯」を腕に抱えて夜の街を歩いた。彼女は電車に乗るかホテルに泊まると思ったらしいが、僕は歩いた。歩きたかった。二駅くらい、なんでもない。
     ひとしれず濡らした頬を夜風が撫でた。街路樹の枝葉がぶつかりあい、そのさざめきが肌をうつ。とりまく闇の気配が「覚醒」を促している。わたしはいつでも太陽の位置がわかる。あの黄金の車輪、そして銀の車輪たる月の満ち欠けもからだで識(し)っている。
     世間ではわたしたち「夢使い」は闇に属し、夜に生きると思っている。…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 9------


  • 「彼氏に連絡しなくて平気?」
     こちらの問いに、彼女は怪訝そうな顔をしたあと表情を強張らせた。その瞬間、僕は悟った。彼女の待ち人が恋人ではないことを。
    「……彼氏じゃないからべつに平気。不倫、だから」
     指先で目じりの涙をはらい、呆けたままの僕に続けた。
    「あちらは結婚してるの。そんなに驚くほど珍しいことじゃないでしょ?」
     僕を見あげた瞳はまだ濡れていた。何を言うともなく口をひらきかけたところで、
    「なにも言わないで」
    「けど、君がこれだけの用意をして……」
    「だから…[全文を見る]

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-----『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 8------
 
 
 彼女のアパートの玄関前に「標し」を立てた。視界樹の黄金と銀の枝木を二本、並べた。これにより、今夜ここに「夢使い」が寄宿しているとわかる、仕事中の看板のようなものだ。昔は縦に銀木(ぎんぼく)、横に金木(きんぼく)を渡した大きな「階梯」を設えたそうだ。次第に簡略化され、いまでは一尺ほどの枝木を使うだけのものとなった。とはいえわたしの師匠は三尺の枝木を、その祖父は屋根をも越える立派な「階梯」を立てたという。それは組合の資料館に納められたというはなしだが、わた…[全文を見る]

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In my life (by Beatles)

There are places I'll remember
All my life, though some have changed
Some forever, not for better
Some have gone and some remain

All these places have their meaning
With lovers and friends I still can recall
Some are dead and some are living
In my life, I've loved them all

But of all these friends and lovers
There is no one compares with you
And these memories lose their meaning
When I think of love as something new

※Though I know I'll never lose affection
For people and things that …[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第二部 「階梯と車輪」 7------
  •  
     
     「ねえ、うち、来ない? 来れるんだったら来てほしいの」
     翌日の朝、委員長から電話があった。開口一番それで、おはようも何もなかった。少々面食らったものの、初めての依頼の際、こういう切羽詰った話し方をするひとは存外多い。
    「今夜ですか?」
    「なんで敬語なの」
    「依頼かと思って……」
    「うん、依頼です。でも同級生なんだから敬語つかわないでよ。気まずいじゃない」
     気まずいのはこちらだと、彼女は気づかないふりをした。昨日やかつての失態をないものとして扱ってくれるものな…[全文を見る]