兵十は己の過ちを悔い、ごんを厚く弔いました。ごんを荼毘にふしていると、ふいに炎が揺らめき、中から大きな影が現れました。兵十は自分の目を疑いました。そこには全身が炎に包まれた、それは美しい鳥の姿があったからです。
「ごん。」兵十の言葉に鳥は兵十の方へ顔を向けましたが、その瞳には兵十の姿は映っていないようでした。鳥は大きく羽ばたくと、天へ昇っていきました。
舞い上がった火の粉は兵十の村を焼き尽くしました。たった一人生き残った兵十もひどい火傷を追い、すっかり容貌が変わってしまいました。
全ての村人の亡がらを弔ったあと、兵十がどこへ行ったのか、誰も知りません。
火の鳥〜ごんぎつね編〜
「カット!」の声とともに湘南プロダクションのスタッフが駆け寄り、ごんを抱き起こしました。「えらかったねぇ!よくがんばったねぇ!」と、監督やスタッフさんがやってきて、ごんを取り囲みました。誰かがとても大きな花束をくれましたが、大好きなスタッフさんに抱えられたまま「鶏のささみか生卵の方がうんといいや。」と、ごんは思いました。
幸い大きな血管や臓器を傷つけることなく弾は貫通していました。家や田畑を処分して治療費を支払おうとする兵十に、獣医さんは「栗でいいよ。」と痩せたごんのしっぽを撫でて言いました。
以前のようには走れなくなったごんに、兵十は栗を取ってきてくれました。傷が痛む寒い季節には囲炉裏端の一番いい場所に寝床を作ってくれました。兵十の髪が白くなる頃には、ごんのしっぽもだいぶ白くなっていました。ごんは家の中で過ごすことが多くなり、兵十の取ってきてくれた栗も確かめるように鼻先で転がすだけで食べることもなくなりました。それでも兵十は秋には栗を取ってきて、冬には藁で寝床をこしらえて、そうして二人春の来るのを待つのでした。
友達の子ギツネと一緒に鉄道の旅に出ました。星々の間のとても美しい場所で列車を降りました。
僕が降りる時、彼は泣いて僕の名前を呼んでいたけど、彼はあれからどうしているかしら。