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「選考委員会の末席から遠目で見ているかぎり、寡黙で温厚で、たとえば地中海に面した小国の地主の旦那で、第一次大戦の前、小作人の要求にも寛容に応じつづけ、そのために財産(しんしょう)が細っても、『村がよくなれば、それでいいんです』と神父さんと立ち話している人を連想した」司馬遼太郎『北のまほろば』

連想されている人は石坂洋次郎。石坂洋次郎もまさかこんなことを思われているとは想像もしなかっただろうなあ。

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「『カイピリーニヤ』はブラジルを代表するカクテルで、さとうきびから作ったピンガという酒に、細かく刻んだライムと砂糖を入れて作ります。とても口当たりはいいのですが、アルコール度は非常に高い飲み物です。」
と、なぜか日本語文法のテキストにカイピリーニヤの詳細な解説がある。おいしそう。
原沢伊都夫『考えて、解いて、学ぶ日本語教育の文法』

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「え〜と、映画《オリエント急行殺人事件》でエルキュール・ポアロを演っていたのは、ピーター・ユスチノフでしたっけか? (編集部註:ちがいます)……(中略)……
 最初に戻りまして《オリエント急行殺人事件》でエルキュール・ポアロはピーター・ユスチノフが演ったと思います。違ってたらごめんなさい。(編集部註:ちがいます。アルバート・フィニーですよ)調べりゃすぐにわかる事なんですが、今、私は記憶だけでこの文章を書き上げる事に意地になってます。」

高橋葉介「『エッジウェア卿の死』配役」(アガサ・クリスティー著、福島正実訳『エッジウェア卿の死』ハヤカワ文庫、2004 年)より。文庫の後ろについている解説。こんな、ハイクレベルの解説、初めて読みました。素敵です。

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「同じ日の夜、チャールズ・アンソニー・ブルーノはテキサス州エルパソのホテルの部屋で仰向けになり、顔のくぼんだ中央にある繊細な鼻の上にうまくバランスをとって金の万年筆を載せようとしていた。」

今読んでるサスペンス小説の一節。一応保険でタイトルは秘す。こいつこの後どえらいことをする。こんな、ベッドの上でねっころがって鼻に万年筆載せようとしていた奴があんなことを……! ぁぁぁぁぁぁこのときに戻りたいよ〜。残り 200 ページくらいあるってことは今の苦しみがあと 200 ページくらい続くってことでしょ? うえーん。

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「シュテケレと呼ばれるフィリピン風中華ドーナツは、世界中の美味いもの好きをシトカへ呼ぶことに大いに貢献してきた。シトカで食されているそれは、フィリピンにはない。中華料理の権威はそのような食べ物がかつて中華鍋から誕生したことはないと断言するだろう。ユダヤ教の唯一神ヤハウェが元はシュメールの嵐の神だったのに似て、シュテケレはユダヤ人の発明ではないが、ユダヤ人の欲望がなければ、世界は神もシュテケレも人類に与えなかったはずだ。細巻き葉巻の形をした揚げドーナツは、甘すぎず塩辛すぎず、砂糖をまぶした外側はサクサク、中は蜂の巣状の空気穴でふんわりしている。紙コップのミルクティーに浸けて眼をつぶり、十秒数えれば、いっそう美味しく食べられること請け合いだ。」

と、今読んでいるハードボイルド小説に突然出てきたので引用してみました。M・シェイボン『ユダヤ警官同盟』より。シトカっていうのはアラスカのシトカです。

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「(いとう)せいこう ほおー。金子さんはまず、五・七・五という形式はとにかく大事だと。次に、切れがなければだめだと、今のところ、こうなってますよね。
(金子)兜太 そうでござんす。」
「兜太 この場合、音歩論で言うと『コ』の下に一字、無声音を取るんだな。『バル コ・ニー』とね。だから『で』は要らなくなっちゃう。この句(バルコニーで文庫一冊分の陽灼け)はその方(バルコニー文庫一冊分の陽灼け)がいいんじゃないかと思ったんですがね、どうでしょう。
せいこう はい。もうよくわかるようになってまいりました。
兜太 エッヘヘヘ」 金子兜太&い…[全文を見る]

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「そして今週は、十二時間交替ぐらいで私はさまざまな役割に成り代わって、いろいろな極限状態を追体験している。昨日の午前はJFKを暗殺したかと思うと、午後はジャック・ルビーに暗殺された。明日は、宇宙ステーションの外壁の修理をするらしい。カノッサでは屈辱的な経験もした。」    津村記久子「地獄」(『浮遊霊ブラジル』所収)より

上記は穏当な方の地獄。フレッシュな地獄描写の数々が読める津村記久子の新作、おすすめです!

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「ガキなりに最低のやつだったな、佐藤は」   東山彰良『ワイルド・サイドを歩け』より

ここ二三日、新聞も読んでいたし、『論語』なども読んでいた、そんな中、最も心に残ったのがこの言葉で、というかこの言葉しか印象に残っておらず、我が事ながらちょっぴり心配にならないのでもないが、佐藤に対して敬意すら感じる「ガキなりに最低」という言葉を味わっているところです。