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翻訳のことを語る

2010年代なかばに実用化されたニューラル機械翻訳(NMT)は、それ以前の統計ベースの機械翻訳(SMT)に比べて、とくに英日翻訳では、確かに流暢さが飛躍的に向上しているが、そのぶん英文をきちんと読まなければ和文の誤りに気づきにくくなっている。
実際、以前とある新聞が大坂なおみ選手の発言をまったく逆の意味に和訳して報道したことで問題になったとき、私が試しに大坂選手のもとの発言(英文)をGoogle翻訳にかけてみたところ、その誤訳にかなり近い結果が得られた。おそらく英語に自信がない記者が記者会見場からいち早く記事を出そうとして、人間の翻訳者に依頼せ…[全文を見る]

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翻訳のことを語る

仕事で翻訳対象にsocial distancingという用語が登場したらクライアントに指示されていない限り「ソーシャルディスタンシング」とせず「一定の対人距離の確保」「人と一定の距離を取る」などとするようにしている。確かにこのsocialは、同一世帯で生活を共にしているのではない他者との関係性を含意しているのかもしれないので、明示的に訳語に反映したくなる気持ちも理解はできる。でも「社会的距離の確保」とすると、逆にまるで従来の対人距離は「社会的距離」ではなかったかまたは確保されていなかったかのようであり、いわば今回はじめて人と人の間に社会が生まれたかの…[全文を見る]