/連続はてな小説

体躯相応の大きな口から覗く牙が裸電球の黄色い光を映す。

「にゃあ」

いつの間にか、音楽まで流れ始めている。
そして俺は目を瞠った。

「にゃあ」

そう、ナンだった。

置手紙の代わりか、僕の手帳になぜか、満面の笑みを浮かべた父のサイン入り顔写真がはさまれていた。
なんの気なしにひっくりかえすと、裏には薄く何か書かれていた。

「でも、金が・・・」
なんだか、気がかりなことだらけだ。

急流下りいかだツアーに誘い出したのだ。

「家出るときガスの元栓閉め忘れた！」

「ホットカーペットつけっぱなしはガチ！」

「確かに桃はあったはずなんだがな」
「親父、たのむぜ。昼間っから夢みてるんじゃネエよ
赤ん坊が入りそうな大きさの桃なんて、あるわけねえ」

そこへ割れかけの桃を持って現れたのは、

『ちょっと、待てよ・・・。時間を戻すって、俺自身はどうなるんだ？』

「あの子」の前に立ちふさがったのは、桃から生まれた桃太郎、金から生まれた金太郎、
そして、

知らないうちに手にしていた謎のボタンを押した。
すると

お前の本当のお父さん。

「お、お父さんだって！？」

「牛でもジャージー種は駄目だ。ホルスタインじゃなくちゃな。」
やつは自慢げに言った。

「企業秘密です！」