この即興演奏は事前にテーマ、コード、曲調などについて打ち合わせていないんだって。信じられる?
至るところでゾクゾクする。20世紀前半のヴァイオリンとピアノのための傑作を思わせる非常に美しい刹那の連続もあれば、手に汗握るスリリングな展開もある。
特にすごいのは2分50秒から。凪の静止状態に入ったVn。同59秒からPfが雰囲気を保ちながら刺激となるモチーフを提示。Vnがそれに基づいて民謡風テーマを紡ぎ出し、PFが応答してダイナミックな展開に。これ全部即興。
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音楽のことを語る
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9年前、東京・千駄木の古書ほうろうへ行ったとき、店先でかかっていた音楽に耳を奪われた。
テクニックではない。いい音楽をしたくてしかたがないという内なる疼きからくる前のめりの姿勢に、みずみずしさを感じた。店主の宮地さんに尋ねたところ、自分もこのジャズピアニストのことをつい最近知って、おもしろいので彼の音楽を店先でかけているのだ、とのことだった。
福居良。彼は高校を中退してアコーディオン奏者になり、父親が弾く津軽三味線の伴奏を務めていたが、都市化していく 60 年代末の札幌で流しの仕事を続けられなくなっていくなかで、あるとき「ジャズピアノ…[全文を見る]