村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」
前から読みたかったんだが昨日夕方買ってきて半日で一気に読んでしまった
文庫にしては厚い方だったが引き込まれて
え?そこで終わるの?どうなるか気になる
しかし、これは恋愛小説じゃないから、そこが重要なんじゃなくて主人公が過去、自分に起きたことの謎を解明する、その過程が大切なんだな
「自分が見たいものを見るのではなく、見なくてはならないものを見るのよ。」
と主人公の恋人は言うが、それがキーワード
結局すべてが解明されるわけではないが彼を変えてしまったトラウマの理由を探る自分再生の旅
いきなおしの旅
それをすませた彼が、そのあとどう生きようと、それは別の物語
あと村上春樹はやはり心を病んだ人を描くのがうまい
「ノルウェーの森」でも思ったけれど
客観的に、というか、いろいろな事象やエピソードや告白を通して、ね
その人の心の動きが細かく描写されることはあまりない
それでも、ああ、この人は病んでいるのだな、ということがひしひしとつたわってきて辛い
しかし「友達だから」という理由で地方から上京した女の子が男友達のマンションに泊めてもらって何もおこらないと思ったというのがよくわからん
誰かその辺つっこめや、と思ったけれど、そういう男女を超越(封印)した仲良しグループだったんだということの強調なのか
本読了のことを語る