まず、歴史修正主義的であることが出世の条件のひとつとされてしまっているような今の政府は、本来真実への指向性を持つ芸術には最初から反するもので、しかもあらゆる方面の逸脱をくりかえしてきたものが文化事業に手を出すとなれば破壊しかしないのだから、まぁなるべくしてなったと言うほかはない。
問題はなんでそんなものが記録的長期政権を維持しているのかと言うことなのだけれど、それはまぁ社会が壊れてしまっているからと言うほかがない。
そして、そういったものへの支持を積極的にする人に、「そんなものを支持をするということは、たとえば貴方が困るような政権ができたときに同じことをされてしまうことを許すということになりますよ」と言っても彼らは知っている。
そんな酷いことをするのは自分が支持する政権だからであり、自分の嫌いな政権ならばそんなことをしないだろうことを。
自分自身が最悪であることを知って、最悪であることを享楽し続けている。ある種の自傷行為。
もちろん、正論が常に無力とは言わない。正論は、単にその問題についてまだよく知らない人への道標になるのだから。ただ、それだけでは膠着状態でしかないことを、とくにこの政権の時間には思い知らされている。
「こういった人々はせいぜい40台後半から60台ぐらいまでなんだから、その世代が去れば良い時代になるよ」と言う意見もあるけど、本当にそれが再生産されない保証はあるの?それを確かめる為にも、何より現状のより深い分析の為にも、そういった自傷行為に落ち込む背景にあるものに意識を向け続けなければならないと思う。
あいちトリエンナーレ助成金停止の件のことを語る