(承前)
茅ヶ崎に開高健記念館というのがあって、そこにあるとき尿瓶型のデキャンタがおいてあった。栓を開けたワインは空気に触れる・なじませることで飲み口が変化して柔らかくなるとは云われてて、普通のデキャンタより尿瓶のほうが良いのは理解できたのだけど、開高さんが作らせたのかな、などと想像していた。でもって「洋酒天国とその時代」を読んでいて、淀川長治と開高健が出席したシンポジウムにおいて尿瓶のカタチをしたデキャンタを記念として出席した参加者に配布したそうで。謎が解けた。てか、そういう企画がするっとなんとかなってしまう(あなたのまちのじゃないほうの)寿屋、サントリーという会社の頭の柔らかさに唸ってしまった。
あと、私は開高健さんの小説やルポは目を通してはいるんだけど、それが当時どういう評価を得ていたかを知らずにいた。「洋酒天国とその時代」はそこらへんも網羅していて、たとえば朝日の特派員としてベトナムへ行き「ベトナム戦記」というのを書いているのだけど、三島由紀夫や吉本隆明といった人たちから、作家が戦場に行かなければ戦争が描けないならば作家ではない、という趣旨の批判を得ていたことをはじめて知った。文学部卒ではないので文学ってなんなんだろってのは相変わらずわかんないけど、ちょっと衝撃を受けた。
まだすべてを読めてないけど、開高健をすこしだけ追っていたほうからすると、すっごく興味深い本に出合った感がある。
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