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読了のことを語る

「首里の馬」高山羽根子

第135回芥川賞受賞作

※ネタバレ注意

いやあ、なんていうか、読後感が良いです。生きる希望が、ふつふつと、からだの奥から沸いてくるような、そんな感じがします。
とちゅうで、
主人公の女性は、これからどうやって生きていくの?
と心配になったりするのですが、
そんな不安も何のその
吹き飛ばしてしまうような、
そういう力強さを、この物語は秘めています。

そしてなにより、とてもていねいにつくられています。
作者は、以前授賞した、若竹千佐子さんや石井遊佳さんと同じ根本昌夫さんの小説講座に通っていたというだけあって、構成が見事です。
編み上げられた、という表現がぴったりの、手芸のような作品

生活することや、対人関係が苦手でも、
仕事はあるし、
どうとでもなる、
そういう人はいる。
排他的な世の中だけど、
世界のあちこちにも、
人はいて、
理不尽な扱いを受けながらも生きているし、
そういうことをこころに刻んで、
生きていかなければならない。

作者の、人への寄り添いかた、
人物をみる目が、とてもあたたかい。

沖縄が舞台ですが、
その歴史や、
その地、
現地の人を、
作者は深く理解している、
そして、
なおもっと知ろうとしている。
沖縄に敬意を払っている。
その姿勢が、
素晴らしい。

とっても、元気をもらいました