id:lieutar
のことを語る

たとえば白はモノトーンの中よりも多様な色相、彩度の色と対比されてより際立つ。
単純なモノトーンの中での白は必然性が強く、また多くのものが担わされていることが考えられるので、そこに白い色が置かれた意味についてあまり考えなくても良い。
さらに言えば白からクロまでのモノトーンは最大の明度差を作ることが出来るものであり、また画材の得やすさからそれ自体に必然性が与えられたものだとも言える。
これに対し、ひとつの画面の中で多様な選択肢が示されているなかでのある色は、それである必然性が弱く、そこに意志を読みとってしまう。たとえば具象などの場合にもともと白く見えるものが白く描かれたと言うのであれば、必然性は判りやすいのだが、そうでないものを白で描く (例 (承前)) と言うのはモノトーン (例 (承前)) に対してどうしても不自然な印象を与えてしまう。(不自然だから悪いと言うのではなく、どう回収するかと言うことが重要なのだが)
また、これらの差からモノトーンの中での白、ないし黒の多様性と言うものももう一度考えることが出来る。モノトーン描写は白黒写真などと違って必ずしも対象の明度を直接映しとったものである必要がなく、たとえば色の鮮かさの表現の為にあえて明度を白や黒に近付けて表現するとか、あるいは明度差がなくとも色相差のある領域について、印象の強めたい方を画面の基調の反対色に近付けるなどとした表現が可能である。