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思い出の店のことを語る

毎週日曜日。
時計が午前11時35分を指すと、父がいつも一言だけ「行くか」と聞いてきた。

行き先は決まっていつものラーメン屋。
国道沿いにある、どこにでもありそうな佇まいで、どこにでもありそうな平凡な名前のラーメン屋。
この時刻に家を出て、ラーメンを食べて帰ってくると、一番の楽しみである囲碁の番組にちょうど間に合う。
だから、絶対にその時刻が前後することはなかった。いかにも時間に几帳面な父らしい。
座る席も、いつも決まって入口近くのテーブル席。開店間もない時間帯なので、座れなかったことはない。

注文はいつも味噌ラーメンだった。
飛び抜け…[全文を見る]