「もちおはそういうの見るけど、相手にしないよね」
「え、もっちゃんああいうの見るの?」
「まあ、たまにですよ」
「へえ、すごいな」
オカルト部入部に憧れるはてこ兄は尊敬のまなざしでもちおを見つめた。
「でもああいうの見るときって、なんかぜんぜん怖くないんですよ」
「え、そうなの?」
「ええ。珍しい虫を見るような感じ」
こういう人を驚かせるのは難しいよ。
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「もちおはそういうの見るけど、相手にしないよね」
「え、もっちゃんああいうの見るの?」
「まあ、たまにですよ」
「へえ、すごいな」
オカルト部入部に憧れるはてこ兄は尊敬のまなざしでもちおを見つめた。
「でもああいうの見るときって、なんかぜんぜん怖くないんですよ」
「え、そうなの?」
「ええ。珍しい虫を見るような感じ」
こういう人を驚かせるのは難しいよ。
※オカルト部注意
義弟が寝室で、いるはずのない女性が、ベッドの足下から布団の上に這い上がってくるという経験をした。
義弟は恐れおののき布団をがっつりかぶって震えていたが、女はやにわに布団を引きはがした。
「ひぃぃ!」と思った瞬間女は消え、深夜の寝室で義弟はひとり夜が明けるまで縮みあがっていた。
義弟がその家を去り、義弟の部下である父子がその家に住んだ。
家の中では不審なことが続いたが、部下は娘の仕業だと思っていた。
録画したはずの番組がたびたび消えるので、部下は娘を叱りつけた。
「あたしじゃない!あたし消してない!」
「おまえ以外い…[全文を見る]
オーバーワークで冗談抜きに妻を寡婦にする気まんまんのもちおに、どう接していいかわからない。
検査結果は来週。
個人の収入を決算している妻。
「思ったより稼いでた」
「ほう!すごいね」
「『はてこはそんなに自由に使えるお金もっててずるい』ってもちおが思うんじゃないかってちょっと心配になったの」
「へえ」
「でも、もちおはきっと『はてこに好きなものを買ってやる機会が減って残念だな』って思うだろうと思ったの」
「そこまでじゃないな」
「あ、そうですか」
「うん。残念じゃないよ。俺ははてこさんが好きだからほしいものを買ってやりたいんだよ。はてこさんが貧しいからじゃないんだよ」
もちおは愛妻家じゃなかったらジゴロの才能あったと思う。
「ねえ、LED電気って眩しいのに明るくないよね」
「ギンギラギンに薄暗くー」
わたしたち、昭和夫婦。
わたしが4時間格闘してどうにもならなかったipodで動画をアップする問題を、酔っ払って帰ってきてちょちょいと解決させた。
「しょうがないよ、きみは素人だからね」
腑に落ちない!!!!
「id:hitode99 さんがブクマくれた」
「ウェーイ系だから。ウェーイ系は人脈だいじにするから」
「その人ね、合コンで場を持たせるのが得意なんだって。その気になれば合コン無双もできるって」
「・・・合コン・・・フフフ」
「なに」
「合コンいったらモテるぞ・・・フフ・・・合コンいったらモテモテだ・・・フフ・・・でも行かない!」
「なんなの。いきたいの?」
「合コン夢想!」
もちおには縁がないなと思った。
「ねえ、美味しい洋菓子が食べたいな」
「ダルシムのことだな」
「え」
「美味しい、ヨガ師が食べたい!」
もうオヤジ化以前には戻れないんだなと思った。
「もうすぐはてこの誕生日です」
「いつだっけ。11月3日?4日?」
「どっちですか」
「4日?」
「そう」
「当たった!もちお、えらい!」
出会って15回目でこれ。
「この先、踏み切りです。ご注意ください」
「よし」
「こら!こんなところで遮断してるんじゃない!!」
ナビを誤解する。
「この先、右折専用レーンがあります。ご注意ください」
「嫌だ!」
ナビに逆らう。
宅では今朝駐車場まで送ってまいりましたのよ。
「車を停めてお客さんに会っていたら駐車場が翌朝まで開かなくなってしまった。迎えに来て」
「もードジなんだから」
「女児?」
誰が女児だ。
上階の釣り人からあらたな鯵が届き、もちおが玄関に出た。
「『誰がさばくの?』って聞かれたから、僕が本を見てさばきます!って言ったら、『さばいてきてやるよ』って」
「いつもわたしがさばいてるでしょ!」
釣り人は三枚におろした鯵を「おかあさんはの分」と二つのブロックにラップでまとめて届けてくれた。
出来ないことにしておいた方がいいのか。
車で仕事に向かった妻に
「青空もちお号で迎えにいきます」
とLINE。
自転車で迎えに来てくれて、帰りは自転車ばらして運転してくれた。
「トレーニングしてきたから大丈夫!」
と言いながら生ビールと焼き鳥をたらふく食べてきた。かつてのもちおを取り戻すまでに時間がかかると思う。