プロパガンダ
ことばはカリスマ。美しく妖しく純粋な魔物
たやすく、実にたやすく
ダメージをもたらす、使い手の意図とはまるで無関係に
道化者らが手慰みに魔力を試せば
無辜の者らの思考という生命の営みを錯乱させる
道化者らさえ、ただで済むはずもなく
指先で弄んだその日から、思想という運命に溺れ
戯れでつくったことばの
その魔力に囚われ、力奪われ、死んでいく
だから、その前に!
気づけ。今、ここで何を語られているのか
知れ、そして、畏れよ。ことばの魔力を
ことばを操る——そのつもりが残虐行為のはじまり
耳に残った音に操られ
己が紡いだ意味の支…[全文を見る]
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――創作のためのハコニワ――(テキストと画像・テキストのみの創作)のことを語る
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陰より生づる
ひとの目って不便ね。
まぶしすぎると、見えない
暗すぎても、見えない
だから、不安になる、
遠すぎても、近すぎても。
遠い先の未来に
あるいは、今、このときに
起きていることが
ひとの目には、見えないのかもしれない。
そんなとき思い出して。
シェード——陰でだからこそ
見えるかたちがある
そして、光が見える
まぶしすぎて、今は直視できなくても
だけどほら、シェードがあれば、
落ち着いて見つめていられる、
このままで、ずっと。
――創作のためのハコニワ――(テキストと画像・テキストのみの創作)のことを語る
月の想い
これから南中する昼の月が満ちるとき、約束の日がやってくる。
あの約束が果たされることを、毎日、思い出させてくれる月の横顔が
うれしそうにも見えるし、悲しそうにも見える。
満ちる日を境に、月は翳ってゆく。
忘れられていくことを月は知っている。
再び思い出されるのは14日後。月が姿を消したことに、誰かが気づく。
約束は果たされて、忘れられる。いつも、そのくり返し。
ようやく陽は沈み、騒がしい昼が終わると
ニュクスのサロンで、月が楽しそうにほくそ笑む。
「明日から、あなたはわたしを忘れていくのよ。
やがてわたしの輪郭はぼや…[全文を見る]
――創作のためのハコニワ――(テキストと画像・テキストのみの創作)のことを語る
新規オープンということで
はじめて投稿してみました。
今後とも、よろしくお願いします。——apo
――創作のためのハコニワ――(テキストと画像・テキストのみの創作)のことを語る
あの人とわたし -01-
好きな人ができた。
まだ、名前は知らない。住んでるところも、誕生日も。だから、あ
の人との相性もこの恋の行方も占えない。
わたしにできるのは、夢みることだけ。
あの人の夢をみて、夢の中であの人に問いかけて、それに、あの人
が答えてくれる。それから、あの人がわたしに尋ねる。そう、あの
人も、わたしのことを知らないから。それをくり返す。
もちろん、現実的じゃないのはわかってる。だけど、今、わたしが
知る限り、いちばん確かな方法だから、あの人に会うのには。
「やりたいことがたくさんあるわりに、
あんまり贅沢じゃないんだな」
そう言って、あの人は笑う。
笑われたくて来たわけじゃないわ、と少しスネてみる。わたしの両
の手は、さっきから無意味に指を絡め合って暇つぶし中。風上に向
けていた顔をうつむけて、視線を指先に落とす。
そして、あの人の返事を期待する。
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あの人とわたし -02-
「わかってるさ、知りたくて来たんだよね?
で、知りたいことは何?」
——あの人はわたしのことを何でも知ってるみたいに言う。だった
ら、わざわざ確かめないで、話してくれたらいいのに。
「どうだろう?
もしも、きみが知りたくないことをわたしが話し始めたら、
きみはどうするだろうか? 耳を塞いでも聞こえてしまう……
それはきみも知っているね」
——あの人は、とても意地悪だ。
「ルールをつくったのはきみだよ。わたしじゃない」
——たしかに。
「じゃあ、きみが、尋ねて。知りたいことは何?」
——どんな質問にも答えるから、とあの人はわたしを勇気づける。
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あの人とわたし -03-
「ゆっくりでいいんだ。
わたしはここで待っているから。
そして、わからなくてもいいんだ。
きみが何をわからないのかを、わたしに伝えてほしい」
——もしかしたら、わたしは怖いのかもしれない。
「知ることがかい?」
——そう。知ることが。そして、認めたくないのかもしれない。
わたしが今、怖がっているということを。
「認めたら、どうなってしまうんだい?」
——わからない。
でも、泣いちゃうかもしれない。止めちゃうかもしれない、こうし
て会うことも。きっと、そうなっちゃう。そしたらどうしよう。
「それでも、き…[全文を見る]