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Tips:行頭を - で始めると箇条書きに、+ で始めると序数付きの箇条書きになる。
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 森が飛ぶように、青年に近づいていった。
「飯、ちゃんと食うとるか? 風呂入らなあかんで。爪と髪切りや、歯も時々磨き」
 機関銃のような師匠の命令が次々と飛んだ。
 髪も髭も伸び放題、風呂も入らん、歯も滅多に磨かない師匠は「手出し」と次の命令を下す。青年はおずおずと森に向けて手を差し伸べた。その手を森はやさしくさすりはじめた。そして「まあまあやなあ」と言った。すると、青年は何も言わずにもう一方の手を差し出すのだった。
 大阪の凍りつくような、真冬の公園で私は息をのむような気持ちでその光景を見ていた。それは、人間というよりもむしろ犬…[全文を見る]

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「確かに、日本では、様々な年中行事が混在しているが、伝統的なイベントは家族向けであるのに対し、クリスマスやバレンタインなど、恋人向けのイベントは、キリスト教絡み、あるいはヨーロッパ的なものだ。」
五十嵐太郎『結婚式教会の誕生』春秋社、2007、p28。

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私が専門にしている古代中世絵画史の分野では、なかなかセクシュアリティについて取りあげることは難しい。それなのに、どうしてこの問題に関心を持つかというと、私自身、女であることに疑問を感じながら生きてきたからである。小さい頃から女の子とうまく遊べす、今でも女の集団は苦手だ。それなのに、女子大にいるのが不思議だが(笑)。私はそれを、性自認が男だからではないかと思っていた時期もあったのだが、こうして大学の教員という職を得てみると、性自認の問題ではなく、女としての社会的な生き難さだったのだということがわかる。性自認は女で、ヘテロだが、そ…[全文を見る]

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真の生誕の地は、人がはじめて己れ自身に知的な一瞥を向けた場所である。その意味でわたしの最初の故郷は書物であった。

マルグリット・ユルスナール著、多田智満子訳『ハドリアヌス帝の回想』(ユルスナール・セレクション1)白水社、2001年、p41。

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勝利も敗北も、同じ太陽から発するそれぞれ異なった光線として、まじりあいもつれあっていた。わたしが馬蹄にかけるあのダキアの歩兵、また後に、乗馬が棒立ちになって互いの胸前を咬みあうような白兵戦のさなかに落馬したあのサルマティア人の騎兵、彼らと自分を同一視したからこそいっそうやすやすとわたしは彼らを撃ち倒したのであった。

マルグリット・ユルスナール著、多田智満子訳『ハドリアヌス帝の回想』(ユルスナール・セレクション1)白水社、2001年、p63。

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自分を「貴族」だと感じられる人間は、多分どんな目にあっても屈辱を感じないし、いくらでも身を落とすことができるのです。人生の階段を一歩ずつ苦労して昇った人間は、その分だけ落ちることの恥ずかしさを感じますが、生まれつき傲慢と誇りのお倉を持って生まれた人間は、かえって没落しながらその現象のほうを軽蔑することができたのでしょう。――山崎正和(『永井路子の日本史探訪』より)

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真理を買え、これを売ってはならない。知恵と教訓と悟りをも買え。

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聖書 箴言 23:23
(『からすが池の魔女』より孫引き)

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パリの楽師たち [たびの空]

パリに到着した直後、せっかくだからちょっと地下鉄で出かけるか、とシャトレ座の横辺りから地下に入り、延々と黄色ラインの方に向かったわけです。そしたら、さして広くもない地下通路の交差点のひとつに、コントラバス出し始めてるにーちゃんがいる。なんじゃいと思って眺めていると、どんどん弦楽器がやってきて、あっという間に10数名の弦楽合奏になっちゃった。おおおお、こいつら、まさかここで始めるのかぁ、と呆れてしばらく眺めていたが、楽器出して弄り始めたもののノンビリおしゃべりなどしていて、弾き出す感じはない。ああそうで…[全文を見る]

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勧君金屈巵  コノサカズキを受ケテクレ  

満酌不須辞  ドウゾナミナミツガセテオクレ

花発多風雨  ハナニアラシノタトヘモアルゾ  

人生足別離  「サヨナラ」ダケガ人生ダ    

于武陵「勧酒」 井伏鱒二訳

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昭和二十六年頃、陽の当たらぬ広いベランダで一人三輪車をこぎながら、三歳の私はつくづく嘆息をついた。
「ああ!!ぼくは一体いつまでこうして三輪車をこいでなくちゃならないんだろう!」

堀越千秋「絵に描けないスペイン」幻戯書房、2008年、202頁。

いや、この人文章うっまいわ~。そこらへんの作家なんかめじゃないような巧さ、可笑しさだわー。

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自分は、一部のGID医療は貧困ビジネスだと思っている。

①お金がなく、②周囲の理解や支援が得にくく、③メンタルヘルスの状態が悪いほど、質の悪い医療ビジネスのターゲットとされてしまうのではないか。 そして悲しいことに、これらのビジネスの「犠牲」にならないためには、当事者が「自衛」をしなくてはいけない。医療にまつわるリテラシーを身につけることと、生活丸ごとからの視点で自分のQOLについて考えていくことの両面から、この問題について考えたい。

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  • 世間一般的にはGIDには、「専門家」が存在することになっている。
    その「専門家」とはジェンダー…[全文を見る]

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merongree‏@merongree

安部公房は天才的に何の外国語も分からず、ドナルドキーン氏と外国へ行くとどうみてもインテリなので英語で喋りかけられ、「いやこのひと英語分かんないんだ」と横から言っても「彼の顔を見ろよ、分かってるじゃないか」と言われるほど雰囲気がインテリだった #文豪の逸話下さい下さい是非下さい

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「あなたはまさしく幸運にめぐりあったのよ」フランスの旧植民地で今もアフリカ人に教えられている、美しい十九世紀のフランス語だった。

『ファティマの幸運』

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これからどんなことがあろうと、彼は過去を精算したのだから、未払いの請求書のように過去を持ち歩く必要はないのだ。
『ファティマの幸運』

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要するに、ケルト人は最初の突撃において無敵である。しかるに次の場面においては、装甲が重いのと、本性に由来する無分別によって逆上するため、容易に討取ることができる。

アンナ・コムネナ「アレクシウス伝」

アンナww 容赦ないなwww
このころの西欧人騎士層のオバカっぷりが非常におもしろい。

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立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい

吉野弘「祝婚歌」

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過去とは過ぎ去ったものだから、かつては変幻自在であったのに、今では変更自由なものでしかない。

ジャネット・ウィンターソン著、岸本佐知子訳「オレンジだけが果物じゃない」p154

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わが不毛の岩、月のことをそんなふうに呼んで、自分はあそこでなら幸せになれるかもしれない、あの太陽の蒼ざめた寄宿人でならーーそう言っていた

ジャネット・ウィンターソン「灯台守の話」

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青い舟で海に漕ぎ出して、流木を拾うみたいにして物語を集めた。

ジャネット・ウィンターソン「灯台守の話」