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読了のことを語る

『プラハの墓地』
初エーコだったんだが、めっちゃおもしろかった!

個個人が持ってる偏見がどのように煽られ、いわゆる最終解決に向かっていくのか、を、あらゆるものに対する憎悪と偏見を全身の毛穴から吹き出してるような主人公が、自分の脱落した記憶を追いながら語る物語。主人公以外はほぼ全登場人物が実在した人々。
偽書作りが得意な主人公は、個個人の偏見を煽り利用することによって充分な資産を蓄えることを決意し、歴史の裏で、あらまほしい歴史を仕立てていく。

これものすごく「今」の話。嫌○、みたいなものを放っておくとどこに向かっていくか、と、その動きの裏にあるものは実際は何なのか、というのがよく描かれてる。歴史の話なのでそこは難しいけれど、でも読み物としての体裁をきっちり押さえて進んでいくので、ぐいぐい読んでしまう。
ほんと、「今」についての話。