『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』キャスリーン・フリン
・ネットでとても評判がよかった(「タイトルどおりじゃない、読む価値がある本」みたいなの)ので、図書館でリクエストしてた。
・料理について何かしら恐怖心を感じ、その結果インスタント食品を買い食べている人がいることに気づいた著者(36歳でコルドンブルーを卒業し、自分の居場所を探している)が、そういう人を集め、プロジェクトとして無料の料理教室を開いた、その過程と結果。ちなみに料理教室は、包丁の説明と持ち方から始まり、鶏の捌き方、様々な調味料のテイスティング、スーパーでの買い物のしかた、なんてのまで。日本だと家庭科でやるような内容なんだけど、もう少し深いし、何より楽しそう。
・内容はすごくおもしろいんだけど、読みながら「タイトルも構成もおそらく邦訳出版に当たって切り刻んで再構成して勝手に章題とかもつけたんだろうなあ」と感じた。翻訳書ってちょくちょくそういうのあるし。あとでアマゾン見たら、説明にまさにそういうことやったって書いてあった(-_-;)
翻訳が読みにくいってレビューあったけど、そして確かにかなりダメ翻訳とは思うけど、読みにくさはたぶん、上記の作業のせい。
・タイトルにも教室メンバーの紹介の章題にも、「料理できない=ダメ女」を強調するようなものがついてるけど、この本で著者がそういう発言するところはまったくないので!!(母親からジェンダーロールを押しつけられて苦しんでる日系女性メンバーがいる) 担当編集者がよほどひどいんだと思う。これらのせいで読み始め当初、著者にうっすらとした悪印象を持たざるを得なかった。
たぶん原書で読んだほうがおもしろいと思うし、印象も違うだろう。
・ジェイミー・オリヴァーの最近の料理番組とか、小林カツ代さんの料理エッセイとか好きな人は好きなんじゃないか。
【勝手に引用】
>私の母のお決まりのフレーズはたくさんあるけれど、ここでふたつ紹介したいと思う。子どもが「できない」という言葉を使うと、母は決まって「誰ができないなんて言ったの?」と言った。「誰が」をとりわけ大きな声で。そしてもうひとつ。「100年経てば誰も違いなんてわからない」
料理ができないなんて誰が言ったの? 何から何まで手作りしなければダメだなんて、うそっぱちだよ。食べるものすべてがオーガニックで、地元で栽培され、グラスフェッドでなきゃダメなんてこともないんだから。インスタントのツナキャセロールと、“トップ・シェフ”の間に、あなたにとって心地よい場所を見つければいいじゃない。焦がしても、落としても、煮過ぎても、生焼けでも、味気なくても、食事のしたくに失敗したって、それでもいいじゃない。たかが1回の食事なんだもの。明日になったらまた作ればいい。100年経てば誰も違いなんてわからないのだから。(p199)