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読了のことを語る

「シャーロック・ホームズ氏の素敵な冒険」 (THE SEVEN-PER-CENT SOLUTION) ニコラス・メイヤー 編 故ジョン・H・ワトスン博士 著←(という設定)
ホームズの二次創作(パスティーシュ。英仏の作家はお笑いや諷刺の要素が入ったものはパロディとして区別しているそうです)の中で非常に秀作とされているらしい
映画化もされてる有名な作品らしい(ただし古書でしか手に入らなかった)

ジクムンド・フロイト...! 紳士でかっこよすぎてつらい!!! 実在人物を登場させるに当たりそりゃまああまりこきおろして悪役にはできないと思うけれど
でも自分が今まで伝記を読んで知るフロイト博士とは、一線を画する(作中のフロイトはまだ30代で、発表した学説のために
市井の人には白眼視され、まだ取り巻く弟子も居ないカリスマじゃない時代だから、というのもあると思う)
素敵な、そして(分野は違えど)あの世界においてホームズと比する観察眼・洞察力を持つ人物として、活躍してました…そしていいひと...めっちゃいいひと...

二次創作ホームズは ワトスンの未発表稿が見つかった、という体裁で発表されるものが多くあるそうですが
創作A(ドイルの描くホームズ。完全な神視点)の中の創作B(ワトスンの描くホームズ。誠実だが完璧ではない記述者)の間に潜むズレみたいな、
「虚偽と捏造」、「ありのままを書けなかったワトスンの晩年の告白」みたいなカタチを取っているのが とてもドキドキしました!