3月
・國分功一郎『中動態の世界 意志と責任の考古学 』……言語の「能動/受動」という枠組みを対象化し、別の語り方を探ることの価値が示されています。「誰が」「誰に」「……させた/させられた」という、「尋問の文体」では、たとえばハラスメントの問題は乗り越えられない。行為主体あるいは行為の受け手ではなく、出来事を主体として語りあうことで協同の道を拓く。去年の話題作。やっと読めました。おもしろかった〜。
・丸山正樹『龍の耳を君に』……とにかくおすすめ。
・黒田龍之助『外国語を学ぶための言語学の考え方』
・黒田龍之助『チェコ語の隙間 東欧のいろんなことばの話』……上の本とも合わせて、すごく楽しんでふむふむと読んだのですが、終盤近くにあった「ブルガリアはなんでもおいしい」という情報ですべてがふっとんでしまいました。
・アガサ・クリスティ『ビッグ4』……ヘイスティングズとポアロが友情を深めるお話。
・津村記久子・江弘毅『大阪的』……大阪出身の二人が大阪を語り合うのですが、ルールのわからないスポーツを見ているような楽しさがありました。話が型にはまりかけるとすっと津村記久子が本質をついていくところなんかはさすがだなと思いました。
・リー・ツンシン『小さな村の小さなダンサー』……文章が生き生きしていて、特に少年時代の話がおもしろかった。本人が書いているので、Mao's Dancer として選ばれた理由はわからないし、あまり本人が自身のダンスの才能をよくわかっていないまま書いている感じと、実直さと粘り強さと、跳びたいという本能のようなものとが渾然一体となって、とても楽しい小説になっていました。
本読了のことを語る