4 月
・田村隆一『ぼくの交響楽』……エッセイ集。近所の子どもから借りた『日本歴史図鑑』をたぐりながら自分と戦争とをふりかえっていく「絵本太平楽」が圧巻でした。「大正というのは、すこぶる奇妙な時代だ。奇妙な明るさと暗さがコインの裏面のように表裏一体をなしていた、しかも重みがない。地べたに、コロッと落ちたって、ろくな音をたてそうがないんだな」という書き出しで。
・ミシェル・ウエルベック『服従』……こわかったけど妙に納得。 納得しながら読んだからこわいのかなあ。
・パトリシア・ハイスミス『11 の物語』……短編集。短編集なんだけど、読後感が長編ぽい。こわすぎ。
・竹中亨『明治のワーグナー・ブーム』……なんかちょっと食い足りなかった。
・都築響一『世露死苦現代詩』……おもしろかった。小田嶋隆 『ポエムに万歳!』とセットで読むと広がりが出そうな話。
・アガサ・クリスティー『青列車の秘密』……キュートな読後感。やさしいポアロ。ラストがいい。
・色川武大『うらおもて人生録』……考えることそのもののおもしろさが味わえる。あとになるほどおもしろい。
・池谷 裕二『脳ははなにかと言い訳する』……行動を起こす瞬間よりも、考えはしたけどやめたといった「やらなかった」瞬間にこそ自由はあるという話が印象深かった。楽しい一冊でした。
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