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読了のことを語る

9 月
・穂村弘『はじめての短歌』……短歌入門書。男がひとり、外でぼんやり佇んでいると通報されておまわりさんがやってきて、事情を聞かれる。そんなときは「コンタクト落としちゃって」と言えば相手はほっとして「そうですか、大変ですね!」と一緒に探してくれる。だが、そんな、相手の側が、とりわけ世間の代表ぽいおまわりさんが納得しやすい理由でばかり我々は佇んでいるわけではないのです、ってくだりが強烈に印象に残ってしまい、メインのところを忘れてしまいました。おすすめです。
・鯨統一郎『月に吠えろ! 萩原朔太郎の事件簿』……これはめずらしく、さしておもしろくなかったなあ。語り手が室生犀星なので、そこで何か一ひねり来るかと思ってた。
・岡井隆『鉄の蜜蜂』……かっこいい歌集。ハードボイルド。読むの大変だった。短歌界のイコライザーです。おすすめ〜〜。
・穂村弘×堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』(再読)……短歌読まない人がお題を出すので大変そうだった。即興ではないけどそれに近いかたちで、結構完成度にばらつきがあって、それがまたおもしろいのかな。エッセイや後書きが充実していて、本としてはかなりお得。おすすめです。
・山田正紀『カムパネルラ』……若い人の思想教育を『銀河鉄道の夜』の第三稿で行っている不思議な世界のお話。『銀河鉄道の夜』の読者ならば必ず思う「45 分……?」に答えてくれる。はははは。おもしろかった。おすすめです。
・早川タダノリ『神国日本のトンデモ決戦生活』……戦後、山口瞳なんかが、戦争で一発当てようとしてた連中よ、いいかげんにしてくれ、戦争は終わったんだって書いたことなどが、よりリアルなものとして響いてきました。史料満載でおすすめです。