id:dadako
読了のことを語る
isbn:9784022503
Ads by Amazon.co.jp

862
三章からなり、映画は、この本の二章の部分からエピソードを拾い物語的に再構成したもの。主人公スモルノフについてはほとんど書かれてない。あの映画はそういう意味ではかなりすごい。
一章は著者自身の体験。著者はアウシュビッツに収容されていたが、最終的には「偽造作戦」に徴収されたことによりアウシュビッツ体験のある生存者となった。「最終解決」のシステムと収容所の生活(といえるのならば、だが)に興味がある人にはよいかも。
三章は、「ベルンハルト作戦」の終焉から戦後の動き、特にナチス復興のために財宝や機密を沈め、「金庫」と呼ばれているトプリッツ湖について。
下の文章が心に残った。
「強制収容所で命を失った人についての完全なリストなど、絶対に作ることはできないだろう。名もなき死者が求めているのは統計ではなく、リストでもない。復讐すら、彼らには意味をなさない。墓なき死者たちが告げるのは将来に向けての警告、「もう二度と起こしてはならない」という警告だけなのだ。」