わたくしがまだ幼い子どもだったころのことでございます。
夕食の席で母がとつぜん「はてこは幼稚園で誰がすきなの?」と聞いてまいりました。
わたくしは「幼稚園太郎くん(仮名)」と素直に答えたのでございます。
そのときの母の「予想外にうまいことやった!」という歓喜の表情に
わたくしは子どもながらなにか嫌な予感を覚えました。
かくして母はその後30年以上、ことあるごとに
「はてこは幼稚園太郎くんが好きだったのよね!」
「はてこは幼稚園太郎くんが好きだったじゃない」
と、突然 むかし話をはじめるヤツになったのでございます。
わたくしはそのたびたいそう居心地の悪い思いをしました。
母はそれがうれしくてたまらないのです。
そんなある日のことでした。(回想終わり)
/突然 むかし話をはじめるヤツ