---- ルーチン -----
ビルを越え高架をくぐり
鳥の群れを追い越す
赤提灯の男も
塾へ急ぐ子どももしらない
晩御飯の献立なんかなおさら
空を焼く火が私を
まっしぐらな風にして
ひこうき雲の果てをめざす
そしてすっかり暮れたあとには
ランプのつかないママチャリで
タイムセールをめざすのだ
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081111
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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る
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- ---- 愚痴 -------
「もう疲れたわ。」
と出そうになる舌をぐるぐると巻き戻す。
ほんの一匙の幸福感のために、この長く緻密な作業を
あとどれだけ繰り返せばいいのだろう。
そういえばもう今日は11月なのだ。冷たい。
あと4つで皮を剥き終えるというところまできて、私はとうとう音を上げてしまった。
「一休みするかな。」
パソコンを開ける。
馴染みのメンバーから、暮れかけた街や生えたばかりの新芽、
名前が知りたいと思っていた紫の花の写真が届く。
それは私にではないけれど、私にでもある手紙だ。
だから私も手紙を書く。
「あやふや」で「あいまい」…[全文を見る]
「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る
------ コンビニ後の約十分 --------
チューハイ買ってプルタブ引いて
コンビニの扉を開けた勢いで蹴り飛ばす
ビニル袋に入ってるすかすかの日常を
きんもくせいの咲く裏道で
それでも私は待っているのだ
洗い晒した綿布を敷いて花が盛りを迎える夜を
漆黒が窓辺を満たす深い夢の断崖で
私が世界の番人になるときを
私のために窓が開きオレンジの粒子が堕ちてくるのを
機はいつしか熟すのだ
あなたが信じても信じなくても
花は咲いては零れ落ちる
今日でなくても
明日でなくても
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081025
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半月は
濡れた指がかじかんだ夜から
何度満ち欠けをくりかえし
あなたの名前を呼んだろう
あの半分の月が好き
思い出して苦しくなるから
この半分の月が好き
愉悦の苦さを思い出すから
見えていること いないこと
見たいもの 見たくないもの
同じだけいつもあると
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081022
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------- コンビニ前の約10分 --------
きみはあまりにちいさくて、ボクの指は役立たずだ。
もどかしく腹立たしく芋虫の指を這わせて、風に奪われる前にきみを奪った。
掌に閉じ込めても指間から洩れるきみの匂い。
ぼくは体中に甘酸っぱい唾液を満たす。
そして暮れかけた空に聞くんだ。
きんもくせいとはどんな星です?
この夕日みたいなオレンジをしているのですか?
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--------------- みかんかんづめ ------------------
ゆうべ空を見あげたら
みかんの一粒が浮かんでて
はじから透きとおった雫が落ちた
あれは舐めると缶詰のアルミの味がするのだろう
このみかんの下でどれだけの白いとりたちが
月をながめているのだろう
子を産むだけをゆるされて
月をながめているのだろう
まるで缶詰のように 圧倒的な力で蓋をされて
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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る
---------- 落ちてくる・跳ね上がる---------
ころころと喜びに充ちた木の実と
はらはらと行方を失った木の葉とが
積もり積もってできたミルフィーユを
あたらしいブーツがサクサク踏むよ
誰が見てくれるわけでもないのに
秋を踏みたくなったブーツが私を呼んだ
散歩、行こう
スキップ、しよう
そして私は高く口ずさむ
お散歩しながら散文を
重力を振り捨てながら詩を!
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081007
「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る
- ----- オーガンジー ----------
「尾のうんと長いのがいいわ。」
透明なオーガンジーのふうわりをみながらKは言う。
薄暗い店に並ぶ小魚たちの中で、その水槽だけが
他とまったく別の時間を刻んでいた。
「うん、そうね。」
私は、水槽に映る影を睨みながら抑揚のない声で答える。
私は。
きんきんと水槽のはじからはじへとターンを繰り返す群れの
ありふれた一匹だ、悲しいけれど。
でもね、「美しいものが好き」ってあんたの言葉に、
これ以上はないくらい傷ついてきたから、、、もう私は平気なのよ。
だから言ってあげる。
透明な肌も、唇の赤さも、うんと長い睫毛も
金魚よりあんたのほうがずっとずっと綺麗だって。
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081004
「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る
「ハコニワ」
ボクのニワには ハコニワがあって
ハコニワには ニワ ニワトリがいる
ハコニワには ワニもいて
それはぼくのキャラメルボックス
ねこやこうまのぬいぐるみ
クリスマスツリーにゴム蛙
雲のように高いくすのきと
ドジョウが寝ている川土手も
この中にちゃぁんとしまってあるんだ
れいこさんが掃除機かけても
どこかいってしまわない
だって入りっこないんだからさ!
ああ、ちょっとすまんね
老人会のヒロサカさんが来たようだから
じゃ ね
ばいばい♪
「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る
ハイクで知り合った創作仲間達でグループ「hakoniwa(ハコニワ)」を作ったよ。
(グループダイアリーURLはこちら→http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/)
ハイクのここでも投稿の告知や作品掲示をしていく予定なんだけど
よかったらみんなも一緒に投稿してみない?
決まりは「画像とテキストの組み合わせ」ってことだけ。
詩でも散文でも物語でもいいよ。よろしくね!
(リンク先の各ダイアリーでは300×300のサイズに縮小されていない絵や写真と
文章が一緒に楽しめますので是非そちらもご覧くださいね。)