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花うさぎのことを語る

お絵かきする余裕がないので東のアーモンドの写真を^^

わたしのとても軽々しいお願いを二つ返事でひきうけてくださってどうもありがとうございました。
いろいろお話したいけれども今夜は遅いですし、お疲れでしょう。
また後日ゆっくり機会を持ちましょう^^

おやすみなさい☆よいゆめがおりてきますように

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部エピローグ「夢の花綵(はなづな)」-----
  • 「わたしは夢使い。
     夢のように、おりてくるものにいつか、なる。
     そのときまでずっと、彼とともに、この街で生きていく。」

     なんてことを書いておいて、あなたがたふたりはその後すぐにこの街を旅立った。
     かねてからはなしのあった海外の大学へと。
     いったいぜんたい本当に、落ち着きがないというのかなんというのかわからないけれど。ほんとにすぐ、気軽に、身軽に、わたしにこの「家」を任せて。
     まあその、うちでは父と母が思った以上に仲睦まじいので、それはそれ…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 31-----
  •  スタンディングオベーションの観客のなか、俺は席を立った。隣りの弟子はあわてて俺の袖を掴んだが、俺はその手にそっと触れて頭をふった。苦労して扉の外に出ると弟子が走って出てきた。
    「先生、どうしてっ」
    「どうしてもこうしてもない。彼女がそばにいたのに気付いただろう。邪魔になる」
    「でもっ、でも……っ」
     泣いていた。この子は怒っているときに泣く。俺は、その肩に手をやってそっと抱き寄せて囁いた。
    「本当にどうもありがとう。手をひいて連れてきてく…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 30-----
  •  叔父からメールが届いたのは試写会のほんの数日前のことだった。ぶっきらぼうをとおりこして、この国の言葉を忘れた人間のような文面だった。だったら外国語で寄越せと毒づいたほどだ。とはいえ、それがらしくもあっておれはため息と同時に微笑んだ。
     著名な映画監督のもとに出入りしていた過去が功を奏したのか、はたまたその後にまた違う映画賞を受賞したせいか前評判はよかった。いわば凱旋映画なのだからと張り切った代理店の力も大きかったのかもしれない。
     …[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 29-----
  •  教授から呼び出しをくらう。花冷えのキャンパスを足早に横切った。職員は彼女をのぞいておれよりすべて年上という資料館からこちらへ来ると、学生たちが文字通り眩しくみえた。新入生は十代か。まだそのころ、あなたを知らなかったと反射的におもう。
     教授の気に入りのソファに腰かけてコーヒーを飲んでいると、端末に悪友から飲みの誘いが入った。気分じゃないと断るが、折り返し、海外におまえと同じ苗字の映画監督がいるんだが知り合いか、と尋ねられた。故郷を出…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 28-----
  •  玄関の開く音がした。俺は飛び起きた。もしや彼がもどってきたのかもしれないと。
    むろんそんなことはなかった。そこに、弟子と教授が立っていた。よれよれのパジャマ姿をさらした俺にも弟子はきちんとお辞儀をした。それからいつもの調子でいった。
    「先生、アーモンドの花が満開だよ!」
     もう三月も末なのだと身体が思い出した。毎年彼と花見に行っていた。弟子はそれを知っているし、何もかもをわかったうえで何も聞かず、また言わずに、なんでもないような顔をし…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 27-----
  •  あの日からの記憶がない。毎日なにをして過ごしているのかがわからない。ただ、あがないだけが意識と肉体を目覚めさせ、依頼人からの連絡がようやく背骨の抜けた肉の塊を人間らしく立たせている。
     葬儀の連絡は依頼人の会社からいただいた。斎場で例の御婦人に再会した。あのあと一度だけ話したと教えてくれた。あなたの齎してくれた香音について長いながい夏休みをもらったみたいだってわらってたわ。そう呟いてから、宿題を出し忘れたわね、と遺影を振り返った。白…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 26-----
  •  忙しいのにわざわざ見送りに来なくても、と吹きさらしのホームで縮こまる教授を見おろすと、誰のせいで忙しいんですか、と眉を逆立てられた。おれはすみませんと殊勝に謝ってみせた。内心では、どうせひと月もしないで顔を合わせるのにと閉口していたが教授がいてくれて有り難くもあった。あなたの弟子がいきなり来たので気づまりだった。ちょうど今、温かいものを買いに行ってくれている。
    「彼は、見送りに来ないんですか」
     教授がわざとらしく頭を廻らした。おれ…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 25-----
  •  あなたはじぶんの声に愕いて息をのんだ。それから信じられないといった顔つきで口をおさえた。けれどもう、言葉は取り返せない。おれはそれを耳にしたし、あなたはあなたでそれを激しく悔やんでいた。
     あなたはたぶん、今のは忘れてくれと言おうとしたのだと思う。でなければ、何か謝罪の言葉を口にしようとしたのだろう。それはでも、慟哭に紛れてこの耳に届かなかった。
     おれは、あなたの前に片膝をついた。
     あなたはおれを見ようとしなかった。震えながらこど…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 24-----
  •  遅くなるという言葉どおり零時をすぎて帰宅した。俺は起きていた。酔って帰ってきた後は苦いコーヒーを飲みたがったので好きな銘柄を買ってきた。彼はそれを補充していなかった。
     お帰りと出迎えたあと栄転おめでとうと言い添えた。ついで、すぐにそれを口に出来なかった気の利かなさと手をあげたことを詫びた。彼は黙って靴を脱ぎ、コートと上着をかけた。それでも話しを聞いていないようではなかった。無視されてはいないと安堵する自分を憐れみながら、コーヒーを…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 23-----
  •  胃の中のものをもどしたが少しも楽にならなかった。十二年もいっしょに暮した相手と別れることが受け入れがたいだけでなく、彼が何故こんなふうに俺を辱めるのかがわからなくて苦しいのだと頭では想像できた。ちゃんとはなしをしたかった。いや、向こうには話すことなどないという理屈はわからないわけではない。
    否、……俺はまだ、事態をのみこめていない。まるで頭が働かない。そこに在るものと、無いものの意味を読み取れないままでいる。
     冷蔵庫には俺の好きな味…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 22-----
  •  おれの腕のなかでしずかになったあなたの表情は隠されたまま見えなかった。このまま縊り殺してやりたいと考えるおれはたぶん、少しおかしくなっていた。あなたから離れるために、そう考えながらあなたに消えない傷をつけたいと願っている。それはおれの痕跡を残そうとするのに等しい。泣きたかった。何をしているのかワカラナイ。あなたがどんな顔で今、おれの腕のなかにおさまっているのか知りたかった。けれどおれはその覆いを剥ぎとらずにあなたへと隙間なく身体を…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 21-----
  •  あなたの狼狽するさまをおれはきっと愉しんだ。気位の高いあなたがあの場でおれを罵ることはないとわかっていた。いや、違う。たぶんそんなこと自体、思いつかなかったにちがいない。
     あなたはおれを信じきっていて、かつておれがあなたの「裏切り」に我を忘れて逆上したときよりもずっと迂闊で、それなのにおれよりもはるかに明敏に何がその場で交わされているのか悟ったようだった。
     今夜あなたを呼び出した依頼人は少々気難しい女優のはずだ。今ではすっかり美…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 20-----
  •  依頼人はこどものころの夢を、と願った。それなのに、せっかく彼が来ているのだから、あがないはすぐ隣でなくてもできると知っているよと微笑んで俺を帰そうとした。俺は夕飯後しばらくして病室へ戻った。もちろん彼も笑顔で送り出してくれた。
     明け方、右手に香音をとらえた。それはしずかに、それでいて恐ろしいほどまっすぐにこの場を目指しておりてきた。息をひそめて爪弾く。それは若い果実を思わせる馨をまとい、思わぬほどに強く、ドキリとするほど張りつめた…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 19-----
  •  俺は午前中いっぱいベッドから起き上がれずに朝食を食べそこなった。ところが彼は軽いジョギングのあと健啖ぶりを発揮して俺のぶんまで腹におさめたと笑った。
     昼過ぎに依頼人の病室で俺たちははなしを聴くことになった。彼女の年の離れた従兄がやはり夢使いで、その勧めで夢見式があってすぐ〈外れ〉た日の落ち着かなさや、師匠が強制連行されたときの周囲の大人たちの言葉などを子供だったときの感じ方と、今現在だけでなく、娘時代に考えたことなども交えながら話…[全文を見る]

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  • ---『夢のように、おりてくるもの』 第三部「夢の花綵(はなづな)」夢うつつ夢うつつ 18-----
  •  朝職場についてすぐ、遠出しているあなたから少し興奮した声で電話がかかってきた。依頼人の知人が戦中戦後の強制労働逃れのために夢使いから〈外れ〉たひとだという。沈黙を強いられてきた件でもあるし、女性だという事実も手伝って、たしかにはなしを聴かせてもらえるなら有り難いのだが……
    「担当地域があるのでおれが行くわけには」
     あなたは、あ、と声をあげて、そりゃそうだよな、とわらった。けれどおれは嬉しかった。あなたのほうからおれの仕事に積極的に関…[全文を見る]

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こんばんは!
すでにうささんからおはなしがありましたように、一気連載となります。
リーダビリティ、なにそれ? な感じでお届けで本当に申し訳ございません><
ですが、予告通り、本日完結です!
どうぞお楽しみに☆

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26-27 あとがき


 

    
                                        完
 

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25

 

  • -- SILENCE ----
  • 静寂  (邦題:夜空 の トランペット)

    いってしまったいとしいひとよ
    そうさ さびしくてしかたない

    なんて無為な日々なんだろう 追憶なんて
    そばに居てくれればすべて捧げられたのに

    聞き馴染んだ声のように
    静寂がささやきかける
    待っても無駄だ
    決まったんだ

    いってしまったいとしいひとよ
    戻ってさえくれたなら

    おやすみ いとしいひと
    夢で会おう
    おやすみ
    おやすみ はるかかなたのあなたよ

    聞き馴染んだ声のように
    静寂がささやきかける
    いってしまったいとしいひと
    戻ってさえくれくれたなら

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