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Tips:スクワットは、回数を急に増やすと膝を痛める。調子を見ながら少しずつやってみよう。
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花うさぎのことを語る

  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」13-----
  •  その結果、あなたは今おれの横で肩を揺らし荒い息をついでいる。たんに列車の時間に間に合うよう走らなければならなくなっただけなのだが。
     あなたは、俺はこういうギリギリは好かないと言ってあるだろうと、途切れとぎれに言っておれを睨んだ。おれはおれで、あなただってあんなに夢中でねだったくせにと言い返したいのは山々だったけれど、あなたにしても本気で腹を立てているわけではないのだし、これでまたしばらく離ればなれになる愛しいひとを別れ際に不機嫌にさせるのも大人げないと素…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」12-----
  •  目が覚めて、腕のなかにあなたがいない現実に軽く恐慌をきたした。慌てて隣りに手をすべらせたが温かみもない。身体を起こして顧みると夢秤もなかった。
     依頼人のところ、か……。
     確かめもしないおれが迂闊だった。
     まだ外は暗い。
     例の女優があなたを呼び出したものか。電車ではない。歩いてか、タクシーか。朝食からランチ、そして午睡をとるといってあなたを独り占めしているのかもしれない。
     おれは半身を起こしベッドのうえで頭を抱えた。
     間が悪すぎる。
     こんなことなら休み…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」11-----
  •  隣りに伏してすぐ、あなたはこちらに寝返りをうった。起きたのかと期待したがまだ眠っていた。だからおれは遠慮なくあなたの肢体を自分の腕のなかに引き入れた。するとあなたはごく自然におれの脚の間に片足を入れこんで隙間なく身体を密着させてきた。おれはあなたの腿に擦りあげられて危うく声をあげそうになった。
     本当にあなたというひとはおれの気も知らないで、おれの忍耐力を試すような振る舞いばかりして憎らしい。ここまでされたら寝込みを襲ってくれと命じられたに等しいような気が…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」10-----
  •  あなたのベッドだと、わけもなく狼狽えた。眠っているあなたに触れるのはどうしてか怖かった。付き合い始めのころがそうだったように、うっかり起こしてしまうような気がした。おれが寝返りを打つたびに目を覚ますあなた、あなたが欲しくてほしくて堪らないのにあなたが出かけるのを笑顔で送り出すじぶん――抱き合っているときはこれ以上なくじぶんたちは相性がいいと信じられるくせに、ふとしたときに何かを互いに犠牲にしてはいまいかと疑っていたあのころの感覚がこの身に甦る。
     それでもお…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」9-----
  •  おれが間違っていた。というより、すっかり忘れていた。あなたは下手したら一日一食だけでも十二分に平気なのだと。ほんとうに何もかも忘れてばかり――いや、ちがう。忘れていたわけでなく、おれがあなたという恋人に過剰に期待しすぎなのだ。
     そう考えて吹き出した。
     それだけおれは、あなたが好きなのだと。あなたにおれを好きでいてほしいのだと。
     まるで成長していない。
     だが、それも悪くない気がした。
     あなたの好きな炊き込みご飯を用意し、同じく好物の具の味噌汁を作った。正直…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」8-----
  •  しばらくして教授とあなたの弟子は連れだって帰り、いや、より正確にいうと、彼女を迎えにその恋人がきて、つまりあなたのおとうと弟子がやってきたのだが、まあそれは今、話すことではないかもしれない。あなたと彼の関係もまた、いずれ機会があれば語ることもあるだろう。ただ、あいかわらず驚くほど口数が少なく、それなのに妙に礼儀正しく畏まった様子で、あなたは彼に比べると随分と柔和で打ち解けやすく、女性的といってもいいほど優しげな印象を与えるのだと今さらに気がついた。
     はたし…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」7-----
  •  細心の注意をはらい寝室の扉をしめた。
     予想通り、教授が立っていた。そのまま書斎に案内した。ドアをあけて先に通し、後ろ手にしめる。
     教授はすっかり空になったそこを眺めた。そして、あなたのために残した本の幾冊かを手に取った。おれは黙って煙草に火をつけた。灰皿はきれいだった。
     教授はふと、ペーパーバックに目をとめた。あなたの好きな古典SFや冒険小説だった。あなたがこの家に引きこもっていた間、あなたはおれの本を紐解くか、子どもが夏休みに読むような物語を読み耽って…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」6-----
  •  あなたは滅多なことでは人前で眠らないひとだった。もちろん気を張り詰めているのでみっともなく酔っ払うこともない。
     母が妹の用足しに付き添い、姉と父が差し向かいで会話し、おれはあなたの弟子から話しを聞いていた。気づいたのはおれでなく、彼女のほうだった。
     その視線の向こうに、今にもソファに倒れ臥しそうなあなたがいた。そういうあなたを教授が見守っていた。
     おれは、それを見ただけで理解できた。何もかもをわかってしまった。それだけでなく、おれの気持ちまでも、あなたの…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」5-----
  •  この距離と位置ならば母は何も見ていないと断言できた。ただし、あなたのその狼狽ぶりを前にしてはもう、誰であろうとおれたちふたりが何をしていたかは一目瞭然だろう。
     母は微笑んであなたを見つめていた。おれはゆっくりと立ちあがった。
    「夏休みはお有りなの?」
     あなたは、自由業なので特にそういうものは、と言葉を濁した。母はおれにちらと視線を投げてから続けた。
    「よかったら、うちに遊びにいらしてくださいな。なにもない田舎ですけど、海は綺麗ですし食べ物も美味しいし、自分の…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」4-----
  •  ところが、おれの後ろについてきたのはあなたではなく、彼女のほうだった。あなたは母に捕まっていた。おれは助けにいこうかと、つまり割って入るべきかと考えていったん身を翻したが、あなたとよく似た黒い瞳に捕捉された。目を合わせると、
    「邪魔しちゃ悪いよ」
     そう言いながらおれの横をすりぬけていった。おれはその場で頭をかいた。まったくもってそのとおりだ。
     おれはお茶の用意をする彼女の横で冷蔵庫をあけた。先ほど示された通りの惨状だった。冷凍庫にはおれが入れておいた炊き込み…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」3-----
  • 「ただいま戻りました。昨夜はご心配をおかけして申し訳ありませんでした」
     あなたは先ほどと変わらない穏やかな声で頭をさげた。その悠揚たる物腰にはおぼえがあった。あなたは本来、自分自身を頑ななまでにしっかりと持ったひとだった。
     教授は呆然とした様子であなたの謝罪を受け止めて、そういう自身に気づいたらしく苦笑した。受け身にまわるとは想像していなかったのだろう。と同時に、おれにその驚愕を見つめられることも。
    「心配は、していませんよ。約束してくれましたから。それより…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」2-----
  •  縺れあうようにしてドアを開けたおれたちを出迎えたのは、玄関の三和土いっぱいに並べられた靴たちだった。それを見た瞬間、おれたちふたりはぎょっとして離れた。体重のほとんどをおれに預けて寄りかかっていたあなたは、危うく弟子の赤い靴を踏みそうになっていた。
     そしてあなたは完全に目が覚めた。
     おれは、あなたの腕を掴んで外に出てしまおうかとも考えた。今ならまだ引き返せる。そう考えながらも、おれは昨日ホテルでみた母親の靴がそこにあるのに気づいて吐息をついた。
     母に、あ…[全文を見る]

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  • ---第三部『夢の花綵(はなづな)』「夢うつつ夢うつつ補遺」1-----
  •  いくらか書き残したことがある。
     おれはあなた宛の書簡のふりをして、このはなしをしはじめた。じっさいに、あなたがこれを読むことがあるのかどうかはわからない。ただおれは、あなたという稀有な「夢使い」について、書き記さずにはいられないのだ。「あなた」についてはもう、諦めた。それはおれの「仕事」ではないし、ほんとうのところ、あなたのことは誰にも知られたくないのだ。おれが何をおいても語りたいと願う「あなた」と、おれだけの「あなた」、それらがけっして分けられるものではな…[全文を見る]

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なんかヒーローインタビューされとるが、まだ連載おわっとらんがなw
今からですよ、い・ま・か・ら!
しかも最終話というか、補遺の主役は実は茶髪くんだろって内容ですよwww
(ていうかこのはなし自体、なんのかんのと、ねええ?w)

てことでみなさん、ここから一気に13話掲載いたします。
連投すみませんが、お付き合いいただけたら幸いです☆

んじゃ、いくよーーーーーーーーーーん♪

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えーと
いま書き終えましたが
これ、どうせ時間すぎてるってことは、
明日の朝なり夜なり、もういちど読み返してからアップすべきですよね?
ていう感じです

いや、なんか、
予想もしないところへオチて、びっくりした
いや、もしかするとみんなはそう予想してたかもだけど(作者がいちばんお馬鹿ていうのはよくあるはなしw
わたしは、アッチで落としたかったのだが、そこで終わらなかったんだよなあ
うーん
「一般受けする内容」じゃないよう、みたいなオチっすなあw

なんかでも、すべてが、ていうのではないけど、ラストをかくというのはともかくキモチヨカッタです、…[全文を見る]

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なにから話せばいいか困るくらい伝えたいことがあるけれども、この二年半にわたる連載で得たものの一番は愛さんが言うようにこの関係そのものかも知れません。二人だけの話でなく、この場所に居る人たちとの関係も含めて。
前述の通り私はこの企画がここまで長引くと全く予想していなかったので正直に告白すれば途中で不安になったこともあったんですよ。一般受けする内容ではないですし表現規制問題が燻ってるときに長くやり続けることがどうだろうかと。不寛容を増幅させないかと。
ですがなんとかいい雰囲気を保ちながら終えることができてとても安堵したんです。

二年…[全文を見る]

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さきにあやまっておく
今夜零時に更新できなかったらごめん!
(いちおうサイトは「毎週金曜更新」だから、べつに約束破りじゃないんだけど)
(んじゃ、いってくる☆)

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てことで愛さん忙しいから一方的にお手紙形式でいってみよー♪

「かわいいかわいい茶髪くんとお別れなんだからね!」って言われなくてもわかってますってばw 
でもこのひとはわたしのものにすでになっているので連載が終了することは重くないのだわたしには^^

今回はじめて1.5次とでも呼びたくなる制作スタンスで臨んで、そして予想外の長期にわたってキャラクターを描き継いできた今は
どのキャラクターもひとりとしていいかげんに描いてはこなかった自分の労がちゃんと糧となって自分の内に残っているという実感があります。
これは単なる二次創作ではどうしても至ることのできない心境だと思う。

いろいろハプニングを乗り越えながら、そういうゴールにたどり着けたのは
ひとえに伴走者の愛さんがその役割をしっかり果たしてくださったおかげと感謝しております。ありがとう☆      (つづく)