こないだの土曜日、暑いなか20年ぶりくらいに練馬駅で降りて、『陸軍登戸研究所』(http://www.rikugun-noborito.com )を見てきた。ずっと興味はあったのだが、上映時間の長さと、チラシの告発しているようでありながら、衛生博覧会的なコピーの数々に、何度かのチャンスを逃しまくっていた。
実際、見てみたら、映画本体は3時間も区役所のパイプ椅子も気にならない面白さ。なんといっても時折のぞく戦中ティーン世代のブラックユーモアぶりがチャーミング!
特に登戸研究所の告発本を書いた研究者の奥さんが、自分でも気づいていなかった長年の呪縛から解き放たれたのには笑った。逆に、監督が取材に来るまでは平和でしたよ、と苦笑する完全に蓋をしておきたかった人も。
3時間の長さなので、もっと中野学校との関係を期待していたけど、そのあたりは公刊本や明大の陸軍登戸研究所記念館などでわかるのだろうか?
『世界の果ての通学路』@シネスイッチ銀座
ハラハラして、笑って、泣けて、また笑って、そして自省する映画でした。
あと、えっ、三兄弟でその名前? こんなところにまでこんな祠が! 植民地政策的なキリスト教の進出具合、半端ねーな……、という場面などもあり、文化史的にも非常に興味深いです。
目黒シネマで『ムード・インディゴ うたかたの日々』。前半の裕福で幸せ、華麗な生活の描写が驚くほど原作の空気を彷彿とさせて素敵なだけに、後半がせつない。前半からちょこちょこ描写されるコランの不器用ぶりが、後半の人生のうまくいかなさに拍車をかける。ラスト、ねずみが小説どおりでなくてよかった。でも、彼が最後に持ち出したものが、あの幸せな生活のかけらなことが、またよけいにさみしい。傑作です。
「ドストエフスキーと愛に生きる」、映画自体は重いけれど、よかった。
が、「5頭の象(ドストエフスキーの長大な5作品のこと)と生きる女」という素晴らしい原題があるのに、なぜこんなメロドラマ的な邦題なのか。
「ドストエフスキーへの愛に生きる」なら、まぁわかるのだが。
ユーロスペースでようやく『ハンナ・アーレント』を見た。起こる物事とその反響を「知って」はいても、生の人間が演じるのを見るのはまた別物 。
前半、ニューヨークでのインテリたちのドイツ語の響きと英語の交錯が耳に心地よいのは、議論がメタなレベルで行われていたからだった。アーレントが『イエルサレムのアイヒマン』を発表してから、アーレントとその思考の真の理解者のみが議論をメタなレベルに保持し、アーレントに失望したり、彼女を糾弾したりする人々は、哲学と現実を綯い交ぜにし、自分で自分を苦しめているように見える。
アーレントが騒動の渦中、やはり…[全文を見る]
小栗旬は、「捨之介」をやるには二枚目すぎるんだよ。二枚目すぎて笑えない。古田新太が、今捨之介をやるなら小栗旬、って推薦したらしいけど。
「捨之介」って銀魂でいうなら銀さんだし、強くてかっこいいけど、基本三枚目の女好きで、だから顔も三枚目(銀さんでいうならギャグ顔)の方がいいし、そう言う奴だから、最後みんなを救う為に自分が犠牲にするところで、格好いいーーーー!!って全部持っていける訳でさ。
もちろん、小栗旬は、実際二枚目なんだし、三枚目を無理して演じる事はないんだけども、そうすると今度は、この脚本は、どうしても、「捨之介」に爆発的な見せ場がなくなるんだよね。
他の人の方がクライマックス、になっちゃうの。
小栗旬は、捨之介で三枚目やるには、技量が足りないと思うなあ。
それと、仲里依沙は声潰し過ぎ。
「ゲキシネ×劇団新感線 髑髏城の七人(小栗旬主演)」
・早乙女太一の殺陣が相変わらずかっこ良かった。最初の登場シーン(斬りつけて登場)とか、格好良過ぎてのけぞった。あれ…足だな。早乙女太一、足の使い方が巧い。森山未來も。フットワークが軽くて動けるから、二人の殺陣のかっこいい事と言ったら。
・主役が完全に空気。悪くはないけど、良くもない。
主役が出てない所の方が、舞台の熱量が高いし、クライマックス感が強い。主役の作るクライマックスが、全くそれを越えてこない。
二幕の最初、森山未来と早乙女太一が対峙する所。無界の里が襲われる所。ここで…[全文を見る]
よしながふみ原作の『大奥』。相変わらず衣装が現実離れしていて素晴らしい。あと、護国寺でロケしてないのに、堂内の造りや仏様周りのお飾りがそっくりに再現されていてびっくり。凄かったなあ。
ただ、音楽の使い方が前回同様、大仰なのには閉口。そこは音楽で補わなくても…、せっかくの俳優の演技が殺されてしまうじゃないの…、と思ってしまうシーンが多いのが残念でした。それと、吉保が徳子をxxxするシーンがなかったのは、吉保役の小野真千子がよかっただけに、惜しい。
あと笑ったのが、冒頭で様々なヒトやモノが江戸城に運び込まれるシーンで、ふとんの西川のロゴを縫い取りした荷物がばばーんと写ったのがむりやりでワロタ。いや、そりゃベッドシーンというかお布団シーンというか、お褥シーンが多いけどさあ。
『100,000年後の安全』と『プリピャチ』。前者は監督の百物語的な語り口が怖い。けど眠くなります。後者は福島のことをどうしても考えてしまうので、ときどきつらい。つらいっていうだけで終わらせてはいけないんだけど、できることは地味で地道なことしかないのよね。
これも先月見た『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』、バレエのドキュメンタリー映画ですが、スポ根もので泣く人の気持ちが少しわかった気がする。予告を見てる時点で涙ぐんでたんですけども、本編ではもっと泣いたわー。
http://www.firstposition-movie.com/
内容的には『リトル・ダンサー』(原題:Billy Elliot)の、もっとタフでシビアなドキュメンタリー版。舞台裏の映像も豊富、というかそれがメインなので、わたしみたいなメイキング好きにとってもたまらない映画です。
あと、昨年春に『ブラック・スワン』を見て、「バレエなめんな!」と憤っていたわたしですが(http://d.hatena.ne.jp/Mmc/20110527 )、『ファースト・ポジション 夢に向かって踊れ!』を見れば、『ブラック・スワン』のバレエダンサーがいかにありえないか、誰にだってはっきりします。『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンのような「プリマ」では、この映画で取り上げられた12歳のセミプロダンサーにさえ太刀打ちできないでしょう。
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昨年最後に見た映画は『マリーアントワネットに別れを告げて』。なんというか、堂々たる歴史改変百合映画でした。
新年初映画は『アルゴ』。しかし次回上映予告のアウンサンスーチー伝記映画に涙してしまった。この予告編で泣きすぎだなわたし。『アルゴ』は特には色彩が面白かった。あと当時の電話器とか揃えるの大変だったろうなー、とか。もちろんダイヤル式。テレックスの機械なんかも興味深かった。
『危険なメソッド』、ル・シネマでは今日までと気付いて駆け込みで。奥さんの度量がデカ過ぎ。
のぼうの城、冒頭で泥がついてるほうが、中盤の顔にドロリ、にリンクしていいと思うんだけどなあ。ほんと、そこだけ残念。あとはエレカシの歌もよかったし、それが終わった後の音楽もよかった。舞台の場所の現代の風景も。
ようやく『のぼうの城』見た。冒頭で起き上がったのぼう様の尻や背中が汚れてなかったとこだけが不満。あとは美々しい男着物や兜や具足もたくさん見られたし、満足です。
「People Like Us」
(原語版で聴きとれないところばっかだけど表情と流れでストーリーはわかる。)
亡父の「お前には姉がいて甥がいる。この金と、気遣いしてくれ」という遺言を受け取って、悪魔のささやきを受けながらがんばる話。亡父が音楽プロデューサーでロックアルバムなんかが小道具として出てきたり。ディランの「ブルーにこんがらがって」もBGMに。映画タイトルはオチにも関係してるよう。
『ダークナイト ライジング』、キャットスーツのキャットウーマンがバットポッドにまたがってるのに、セクシーショットがなかったのが残念過ぎる! 細かいとこで気になる点はほかにもあるけど(自動操縦のパッチが確認できるような姿でそれが形を残してるわけないよね?とか)、派手派手しくおもしろかった。街の人は以前より自立的になってたし。
仕事帰りに映画『ヘルタースケルター』をようやく見た。ネットで毀誉褒貶色々見てからだったけど、わたしには思ったほどあちゃーな感じじゃなかった。というか予告編を見て『洗礼』風味の水分多めな感じだろうと思ってたらそのとおりで、けっこう楽しめました。
ただ、ラストはもっと爛れてる美があったらよかったかな。あれだとまだ綺麗すぎるでしょう、マンガでなく、映画なんだし。
あと、音楽と音の扱いが雑なのは気になった。こんなに音がブツブツ切れたり入ったりする映画初めて。クラシック音楽のあまりにクラシカルな使われ方はもしかして狙ったのかなとも思うけど(そこで切るか?という違和感とか)、雑音のブツ切れはなんらかの効果を狙ってるようでもないし、なんだったんだろう?
まあ、売れ線としてはこういう軽い(いや、実物は見てないですが)ノベライズっぽいものなんでしょうが、私の好みとしてはもっと厚い・濃い小説を読んでみたいのです。
海外文学(アリステア・マクラウド等)では、漁師の心情や豊かな自然を淡々と描いたしみじみくる作品があるので。
運命の偶然を演出するのって仕方が無い、ですよねー。フィクションですから。
たとえばカナダのパブで船の模型を介在させて直接は会わずに長期間二人の交流が続くとか、そういう展開もアリかなーと思うのです。まあでもそういう仕掛けは一作品一つか二つが限界かと思うのですが。
ありゃ、脚本家自らノベライズだか原作だかを出してるじゃん、幻冬舎で。
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