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「なぜなら芸術のための芸術はほとんどいつでも、文字通りに受け取られるべきものではなくて、名前がまだないので明言できない何かを載せた船の、旗印だったのだから」
ベンヤミン『シュルレアリスム』(岩波文庫版)

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「マヨルカ島のパルマでは皆が幸福だ
人は道路でレモンシャーベットを食べる」
ジャン・コクトー

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「この国フランスのこの時代において最も美しいもの ― それは、理性と詩情が共存し、知慧と企画が協同する建築物に特有の発明と勇気と創造的精神であるが ― それらを、憎しみや怖れや精神の貧しさや無気力のもつあらゆる残忍さをもって忌まわしくも執拗に破壊し打負かそうとする人々を、私は良心の苛責と後悔に導いてやりたい」
ル・コルビュジエ『伽藍が白かったとき』

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『眼』
白い波が頭へとびかゝつてくる七月に
南方の綺麗な町をすぎる
静かな庭が旅人のために眠つてゐる
薔薇に砂に水
薔薇に霞む心
石に刻まれた髪
石に刻まれた音
石に刻まれた眼は永遠に開く

西脇順三郎

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宇宙がただ一本の花になった夢を
うっかり見てしまった男はもうこの世では使いものにならなくなってしまったのだ

蔵原伸二郎「しずかな秋」(詩集『岩魚』)

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よく経験することだが、小説の登場人物たちに私の過去の大切な思い出を与えてしまうと、突然押し込められた造りものの世界の中でその思い出はやせ細ってしまいがちだ。それは依然として頭の中に消えないでいるとはいえ、そのぬくもりや、思い返すときに感じる魅力は失われてしまい、芸術家に触れられることなど想像もできないように思えた以前の自分よりも、私の小説とぴったり重なっていく。往時の無声映画によく見られたように、家々は記憶の中で音もなく崩れてしまい、一度、ある作品の中で一人の少年に貸してやった年配のフランス人女性家庭教師の肖像は、見る見るかす…[全文を見る]

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「もっともよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないことだ」
マルクス・アウレーリウス『自省録』

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「空しき栄華の夢、舞台での芝居、羊や牛の群、槍の戦い、小犬に投げてやる小骨、魚の溜池にほうってやるパン屑、蟻の労苦と重荷、おびえた鼠の逃走、糸であやつられる人形。以上のようなものの中で君は善意にみちた態度を取り、尊大な風をしてはならない。ただし人間各ゝの価値は、その人が熱心に追い求める対象の価値に等しい、ということを理解していること」

「想像力を抹殺せよ。人形のように糸にあやつられるな。時を現在にかぎれ。君、または他人に起ってくる事柄を認識せよ。君の眼前にあるものを原因と素材とに区別し分析せよ。最期の時を考えよ。人が過ちを犯したら、その過ちは、これを犯した人のもとに留めておくがよい」

マルクス・アウレーリウス『自省録』

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「たとえばある人々は贅沢を楽しみ、残りの人々は飢えかけているという場合ですら、それはパレート最適でありうる。その際飢える人々が状態を改善するには、富める人々の快楽をいささかも損なうことのない限りにおいて行なわれなければならない。ローマが燃え落ちるのを防げば、皇帝ネロの機嫌を悪化したろう。ならばネロがローマを燃やすままに委せることがパレート最適であったといえよう。つまり、社会や経済はパレート最適であり、かつ、まったく唾棄すべきものであるということも起こり得るのだ」

「精度の観点からも思考の枠組みという観点からも、不純な方法が重用であるといえそうである。純粋さはオリーブ油や海の空気や民話のヒロインにとっては明らかに美徳であるが、集合的選択の方法にとってはそうではない、という信念を、この本で割いたかなりの紙幅が表している」

アマルティア・セン『集合的選択と社会的厚生』

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「ルール4 ― いずれの引用にあっても、著者と典拠(印刷されたものであれ、肉筆のものであれ)がはっきりそれと分かるようでなければならない。
ウンベルト・エーコ『論文作法』

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「自分自身を憎むことはそう思われているよりもたやすい。自分を忘れることは、聖寵である。しかし、もしわたしたちのうちで傲慢そのものが死に絶えるとすれば、そのばあい、このうえもない聖寵とは、自分自身をイエズス・キリストの悩める肢体のどれでもいいひとつとして、つつましく愛することではあるまいか?」
ベルナノス『田舎司祭の日記』

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「四月がそのやさしきにわか雨を
 三月の旱魃の根にまで滲みとおらせ、
 樹液の管ひとつひとつをしっとりと
 ひたし潤し花も綻びはじめるころ、」
チョーサー 『カンタベリー物語』桝井迪夫訳

「四月は残酷極まる月で、
 死んだ土地からライラックをそだて、
 記憶と欲望をまぜあわせ、
 鈍重な根を春雨で刺激する。」
T.S.エリオット 『荒地』上田保訳

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驢馬と王様と私
私たちは明日死んでしまう
驢馬は飢えで
王様は退屈で
私は愛で
チョークの指が
日々の石盤に
私たちの名を記す
そしてポプラを吹く風が
私たちの名を呼ぶ
驢馬 王様 私
黒いぼろ布の太陽で
私たちの名は消されてしまった
牧草地の冷たい水
砂時計の砂
赤いばらの木のばら
みちくさする道
驢馬と王様と私
私たちは明日死んでしまう
驢馬は飢えで
王様は退屈で
私は愛で
五月に
生はさくらんぼ
死はその種
愛はさくらんぼの木

ジャック・プレヴェール Chanson du mois de mai (五月の歌) 訳は適当

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事実、読書は一種の悪徳なのだ。私たちがつねに強烈な愉悦感をもってたちかえる習慣、私たちがそのなかに逃避しひとり閉じこもる習慣、私たちを慰め、ちょっとした幻滅の憂晴らしともなる習慣、そういった習慣がすべて悪徳であるように。
ヴァレリー・ラルボー『罰せられざる悪徳・読書』 岩崎力訳

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あのやさしい夜の中へおとなしく入ってはいけない
老人は生涯の日暮れに 燃え上がり荒れ狂うべきだ
死滅してゆく光に向って 怒り狂え 怒り狂え

ディラン・トマス 『あのやさしい夜の中へおとなしく入ってはいけない』

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「ここは金の甕を埋めるのに丁度いい所だ、」とセバスチアンが言った。「私は私が幸福な思いをした場所毎に何か貴重なものを埋めて、そして私が年を取って醜くみじめな人間になってからそこへ戻って来てそれを掘り出しては、昔を回顧したいんだ。」

イーヴリン・ウォー『ブライヅヘッドふたたび』 吉田健一訳

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 さらに思い出すのは、ある日ひとりの婦人が私の面前で、ちょうどはめていた青空の色をした驚くべき手袋の片方を、「シュルレアリスム本部」への贈り物にしたらどうかと、誰かから一見たわむれに勧められたときのことだ、その申し出を彼女が聞き入れようとするのを見て、私は恐怖にとらえられ、どうかそんなことはしないでほしいとくりかえし哀願したのだった。あのとき、あの手袋が永遠にあの手をはなれてしまうのだと考えたことのなかには、何かしら私にとって、すさまじいまでに、すばらしいまでに決定的なものがあったのかもしれない。

アンドレ・ブルトン『ナジャ』巌谷国士訳(白水社版)

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「しかし、この一九五五年、そしてたぶん、これから先もだろうが、無責任な好奇心の創り出すお楽しみだけは君たちのものさ。何か面白いことはないかなあとキョロキョロしていれば、それにふさわしい突飛で残酷な事件が、いくらでも現実にうまれてくる、いまはそんな時代だが、その中で自分さえ安全地帯にいて、見物に側に廻ることが出来たら、どんな痛ましい光景でも喜んで眺めようという、それがお化けの正体なんだ。おれには、何という凄まじい虚無だろうとしか思えない」
『虚無への供物』中井英夫

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「私にとってグルーヴというのは、外部から影響を受けずに瞑想するための空間のようなもの」
―ミシェル・ンデゲオチェロ ベースマガジン2005年4月号

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「その時、私は自分が求めていた印が、人群の中で人にお辞儀をするような小さなことではないことを知って、神殿の幔が上から下まで避けたという、子供の頃に聞いた言葉を思い出した。」
イーヴリン・ウォー『ブライヅヘッド ふたたび』吉田健一訳