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超短編のことを語る

妹の学校でお昼の放送にボカロ曲をかけるのが禁止された。
機械だから?歌詞がわからないから?
どうせそんな理由だろうと想像しつつ、私は母校であるその中学に問い合わせてみた。
納得できる理由でなければ妹のために戦うつもりだ。
問合せに応じた教頭はただ「数日にわたりボーカロイドとやらの曲ばかりかけていたので禁止になった」と短く説明してくれたのみだった。
私はさらに部活の後輩や友人から情報を集めた。

まとめると、事実はどうやら私が想像していたのとは違っていたようだ。
妹の学校では、私が卒業した翌年に放送委員が廃止され、昼の放送も教師によって…[全文を見る]

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あの男とオフで会った者は、一人残らずハイクから姿を消す
そしてツイッターが落ちた時だけ現れるようになる

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その人とはメールを交わすだけの友達だった。
庭で育てた花の写真を毎日送ってくれた。
あんまり上手な写真ではなかったけれど、ひきこもりがちな私の心を温かくしてくれた。
しばらくののち私は殆ど登校できなかった学校をやめて、少し離れたところに転校した。
その頃から、その人から送られてくる写真がなんだか違う様子に見えた。
学校で新しくできた友達がふと覗き見て言った。
「それ、図書室の図鑑の写真を写メったの?」
私はどういうことか理解できず、とにかく図書室でその図鑑を探した。
図鑑は借りられたままだった。
私が転校してくる少し前からずっと。
図書係がこっそり教えてくれた。
どういうわけか、とにかくそれを借りた生徒はずっと学校に来ていないらしい。

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【サンダルおじさんの挫折】
http://h.hatena.ne.jp/naming_ohji/9234077188272692257
 
サンダルを履いたおじさんなら、この町でも珍しくもない。
サンダルおじさんがサンダルおじさんと呼ばれるのは、彼の特殊なサンダル使用法に因る。
サンダルおじさんはアーケード街のシャッターが降り始めるころ現れて、スーツの内ポケットからサンダルを取り出し、肩、太腿、背中に打ち付けて「パカポコパカポコ」とリズムを奏でるのだ。
 
ゆらゆらと気持ち良さそうに揺れながら、サンダルでリズムを刻むおじさん、
アーケードに反射して、響き渡るサンダルのパーカッション、
駅…[全文を見る]

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また美容院を予約してしまった。
先週切ったばかりなのに。カットだけお願いしますと、また電話してしまった。
 
もう、名前も覚えていない…というか、ハンドルネームでしか呼び合ったことなかったあの彼。
なんであの男はあんなこと言ったのかな。あれは確か出会い系オフではなかったはず。
「俺が伸ばしてって言ったら伸ばす?」と言われて私は「伸ばさない」と答えた。
 
そうだ。あの時から、私は髪を伸ばせないでいる。
なんて強力な呪詛だ。

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「俺って雨男なのよ」
雨男/雨女を自称する人って、自分一人の都合で自然現象がどうにかなるとでも思ってるのか。
病気自慢のようで、不幸自慢のようで、うんざりする。
 
そこで「私は晴れ女だよ」と返す。
 
彼が「だって大事なイベントのときは必ず雨なんだ、ホントに」と言うから。
そのセオリーを当てはめると、晴れた日の私とのデートは彼にとって大事なイベントではないってことになるではないか。
 
今年二人揃って花見のチャンスは恐らく今日が最後。
窓の外に見える空は朝から明るくなったり陰ったりを繰り返している。
彼の「雨男」パワーと私の「晴れ女」パワーと、勝つのはどちらだ。