古事記物語 51 天照大御神と須佐之男命
そして、香山(かぐやま)のカニワ桜の皮をもやし、雄鹿の肩の骨を焼いて占いをしたのです。
神のおつげで、香山のたくさんの榊を根ごととってきて、上の方の枝には玉飾りを、中程の枝には鏡を、下方の枝には白と青の幣(ぬさ)をつけました。
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古事記物語 51 天照大御神と須佐之男命
そして、香山(かぐやま)のカニワ桜の皮をもやし、雄鹿の肩の骨を焼いて占いをしたのです。
神のおつげで、香山のたくさんの榊を根ごととってきて、上の方の枝には玉飾りを、中程の枝には鏡を、下方の枝には白と青の幣(ぬさ)をつけました。
古事記物語 50 天照大御神と須佐之男命
「たくさんの長鳴鳥を集めて、岩戸の前で鳴かしたらどうだろう」
「それがいい」
「そうしよう」
高天原にいるすべての長鳴鳥が、岩戸の前に集められました。
一方、安の河の川上にある堅い石と金山の鉄で大きな鏡を、八尺の勾玉をたくさんつけた玉飾りも作りました。
古事記物語 49 天照大御神と須佐之男命
高天原にいるすべての神が、天の安の河原に集まり、どうしたら天照大御神が岩屋から出てきてくれるか、みんなで相談しました。
高御産巣日神(たかみむすひのかみ)の子で、一番かしこい神といわれている思金神(おもいかねのかみ)が、いいことを考えつきました。
古事記物語 48 天照大御神と須佐之男命
真っ暗な夜が、何ヶ月も続きました。
「いつまで、真っ暗な夜が続くのだ」
大勢の神がさわぎだし、各地でいろいろな災いがおこるようになりました。
古事記物語 47 天照大御神と須佐之男命
その様子をみた天照大御神はこわくなり、天の岩屋の戸を開け、中に閉じこもってしまいました。
太陽の神である天照大御神が岩屋に隠れてしまったので、高天原も葦原中国も真っ暗になってしまいました。
古事記物語 46 天照大御神と須佐之男命
ある日。
天照大御神が、はた織り小屋で女神たちに布を織らせていた時。
須佐之男命は天井に穴を開け、皮をはいだ斑入りの馬を、その穴から落しました。
はたを織っていた女神がびっくりして、横糸を通す道具で下腹をつき死んでしまいました。
古事記物語 45 天照大御神と須佐之男命
「田のあぜをこわしたのも、溝を埋めたのも、土地を広くしようと思ってやったのでしょう」
天照大御神は、須佐之男命がやったことをかばいました。
その後。
須佐之男命のいたずらは、だんだんにひどくなっていきました。
古事記物語 44 天照大御神と須佐之男命
天照大御神に勝った須佐之男命は、田のあぜをこわしたり、溝を埋めたり、大嘗(おおにえ)をする神殿に、くそをまきちらしたりしました。
「くそのような物は、弟が酔ってはいたのでは」
古事記物語 43 天照大御神と須佐之男命
「後から生まれた男の神は、私の持物から生まれたから、当然私のもの。先に生まれた女神は、おまえの子である」
天照大御神がいいました。
すると、須佐之男命が、「わしの心が清いから、おとなしい女神ばかりが生まれたのじゃ。だから、わしの勝ちだ」と、じまんしました。
古事記物語 42 天照大御神と須佐之男命
右と左のみずらに巻いた玉から生まれた神が、天之菩卑能命(あめのほひのみこと)と天津日子根命(あまつひこねのみこと)。
左と右の手に巻いた玉から生まれた神が、活津日子根命(いくつひこねのみこと)と熊野久須卑命(くまのくすひのみこと)。
五柱の男の神が生まれました。
古事記物語 41 天照大御神と須佐之男命
生まれた子は、多紀理比売命(たぎりひめのみこと)・狭依比売命(さよりひめのみこと)・多岐都比売命(たきつひめのみこと)。
三柱の女神が生まれました。
次に、須佐之男命がうけいを。
姉の八尺(やさか)の勾玉の髪飾りを借り、井戸でその玉を清め、はき出した時に生まれた神が、天之忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)。
古事記物語 40 天照大御神と須佐之男命
「こどもを生んで、あかしをたてよう」
「じゃあ、そうしましょう」
天照大御神と須佐之男命は、天の安の河をはさんで、うけいをしました。
最初に、天照大御神がうけいを。
弟の十挙の剣を借り、剣を三つに折りました。そして、剣を清らかな井戸水で洗って清め、がりがりとかんで、息をふきかけました。
古事記物語 39 天照大御神と須佐之男命
「姉上。わしは、何もたくらんではいない。父が泣きわめいているわけを聞いたので、大好きな母の国へ行きたいといったら、さっさと出ていけと追いだされてしまったのじゃ。それで、別れの挨拶をしようとやってきたのだ。ただそれだけじゃ」
「弟よ。邪心がないことを、どうやって証明するの」
古事記物語 38 天照大御神と須佐之男命
すると、あたり一面に、庭の土が粉雪のように飛び散りました。
戦う準備ができた天照大御神は、須佐之男命がやってくるのを待ちました。
「弟よ。何をしにここへきたのだ」
古事記物語 37 天照大御神と須佐之男命
そして、左右の髪には髪飾りを、両方の腕には勾玉がたくさんついた八尺(やひろ)の玉飾りを、鎧の背には千本入れの矢入れを、鎧の胸には五百本入れの矢入れをつけました。
そして、右手に弓を持つと、弓をつきたて、足が埋まるほど大地を強くふみならしました。
古事記物語 36 天照大御神と須佐之男命
遠くから聞こえてくる須佐之男命の足音を聞いた天照大御神は、びっくりしました。
「弟がここへ来るのは、なにかたくらみがあるにちがいない。わが国をうばおうと思ってやってきたのではないか」
天照大御神は、急いで髪をとくと、みずら(男性の束ね髪)に結いなおしました。
古事記物語 35 天照大御神と須佐之男命
「じゃあ、姉の天照大御神に挨拶してから、母がいる根之堅州国へ行こう」
須佐之男命は、大空の上にある高天原へ向かって、のぼって行きました。
力の強い大男の須佐之男命が、どすんどすんと歩くので、大地が地震のようにゆれました。
古事記物語 34 伊耶那岐命と伊耶那美命
伊耶那岐命は、須佐之男命をよび、厳しくしかりました。
「おまえは、海原を治めずに、なぜ泣きわめいているのだ」
「大好きな母がいる根之堅州国へ行きたいと、泣いていたのです」
「そんな勝手なことは許さん。さっさと出ていけ」
伊耶那岐命は、須佐之男命を追放しました。
古事記物語 33 伊耶那岐命と伊耶那美命
また、火がついたように大声で泣くので、川や海の水もひあがってしまいました。
須佐之男命の泣き声を聞いた悪神たちが、あちこちであばれだし、いろいろな災いがおこるようになりました。
古事記物語 32 伊耶那岐命と伊耶那美命
しかし、末っ子の須佐之男命は、父のいいつけを守らず、長いひげがみぞおちのあたりまで届くほどに成長しても、毎日泣きわめいていました。
「わぁーん、あーん」
須佐之男命が赤ん坊のように大声で泣きさけぶので、青々した山の草や木が枯れてしまいました。