台詞を発する役者の口が、泣き声に変わってしまう、と言うのは、それが演出なのか役者の感情移入による物かはわからないけれど(そしてもちろん、そのどれでもいいのだけど)なんとも残酷な事だ、と思った。
原作でも、そしてこの舞台の上でも、少女達の日常と人生を殊更に悲哀に満ちた物として描こうとしてはいなかった、と思うのだ。
思うのだけど、どうしたって肉体は、哀しさや辛さを浮き彫りにしてしまう。
苦痛に満ちた日常を見せてしまう。目の前の舞台で起こっている舞台が、時々遠くなったのは「想像を絶する」事だったからか。
そうかと思うと、ぐっと近寄って来…[全文を見る]
マームとジプシー「cocoon」
舞台の上で起こっている事が遠くなったり近くなったり、そうかと思えば体の中にひゅっと入ってきたりして面白かった…漫画では、「生きる」為のズルさが建前も含めてありのまま描こうとされてた気がするけど、それが、美しく昇華されてしまった感じはした。
でも、これが、創作において、現実の体を持つってことなのかなあ、とも思う。
「こどもの一生」BSプレミアム録画
・やっぱり舞台は舞台で観ないとなぁ。全体をみて作ってあるシーンは、そういうふうに観たかったなぁ。
・話自体は読んだ方が怖いはず。自分も入り込むことが大切な話だったから。
・重要な台詞を言ったときの谷原さんが見たかったなぁ。映画だったら、そういう場面も入れられたと思う。
・というわけで、面白いお話だったし、役者さんもよかったけど、お話自体は読んだ方がよくて、違う形にするなら映画の方がよかったのでは…とも思いました。
・だけど、戸次さんがステキ、戸次さんがかっこいい、戸次さんが…!
ナイロン100℃「わが闇」
興奮。そして「とっても個人的だ」と思える涙。逡巡した舞台。チケットとって良かった。
家族の全員が求める何かを得られず、渇望し、足掻く様子は切実で、哀しく、愛(かな)しい。
それでもこの家族の時間の中に光るものはあり、その事実は絶対に消えず、これからも存在し続ける。
『ドレッサー』@世田谷パブリックシアター
・大泉さん大活躍!あー、なんていうか、大泉さんがはまり役!っていうはまり役ではないんですよ。あちこち“らしさ”というか、大泉さんなら“こう”っていうのを潰してあるようなかんじなのに、大泉さんの魅力がすごく感じられるんです。役柄が裏方だからなのかなぁ。大泉さん自身が主役なのに裏方らしく、何かを消してるかんじでした。
・橋爪さん、キュート!触りたくなります。匂いも嗅ぎたくなる、何故か。
・第二次世界大戦中でロンドンは日々爆撃されているっていう状況でのお話で、たぶんその社会情勢が大きく影を落としてい…[全文を見る]
「遠い夏のゴッホ」@NHK BSプレミアム放送分
作、演出:西田シャトナー
出演:松山ケンイチ、美波
・松ケンの訛りかわいい。身体大きい。舞台映えしただろうなぁ!声もいいし、表情もよかったです。何より、ラストの年老いて命の尽きる間際の姿だったのが、ベアトリーチェのために歌った瞬間、恋人の顔になるところが!!
・美波の幼虫ぶりがかわいい。実に幼気に見える。最後の涙の美しさ。
・出演者の皆さん、とてもよかったです。中でも筒井道隆さんの安定感がひときわでした。個性的な登場人物の中で、普通っぽいキャラなのに歩いてくる姿がとても舞台に馴染んでいて、…[全文を見る]
「断色~danjiki~ 」
作:青木豪 演出:いのうえひでのり
出演:堤真一、麻生久美子、田中哲司
・青山円形劇場、初めて行きました。特殊な空間としか言いようがありません。そういう劇場で俳優さんがいろいろなアプローチで空気をかき混ぜて熱していく様を目の当たりにした気分です。完全にコントロールしているのではなくて、あっちこっちに転がして、どんどん場を作っていく熱量っていうんでしょうか。笑いさえ、緊張を高める手段になっているようでした。
・内容については別途。お薦めです。7日まで。当日券あるみたいです。
「八犬伝」@シアターコクーン 阿部サダヲ、瀬戸康史、二階堂ふみ、田辺誠一など
・面白かったです!阿部サダヲさん、初めて見られて嬉しいです!
・太鼓の生演奏や八つの玉を使った電飾、阿部さんと尾上寛之さんの太鼓演奏や、八犬士+法師のダンスなどのおまけもありました。全体に演出はシンプルな印象でした。
・信乃がとても軽いかんじで登場したかと思ったら、全編通して軽いかんじでした。お話はちょっとどろどろもしていたし、信乃も最後は難しいまとめの台詞を言っていましたが、それでもやっぱり軽い印象でした。
・浪人?役の増沢望さんという方がよかった!なんだか。
「マクベス」@世田谷パブリックシアター
出演:野村萬斎/秋山菜津子/小林桂太/高田恵篤/福士惠二
・マクベス夫妻以外の登場人物は三人の魔女役の方々が次々入れ替わって演じています。なので、王として役を終える瞬間に魔女の顔を見せたり、誰でもない場面で傍観者のようであったりと、場面場面に様々な意味づけ、重さを与えているようでした。
・マクベス夫妻は確かに自分の意思で人としての道を外れたのですが、それらの演出に抗い難い人の弱さとか、人生の罠とか、縁を感じました。
・演出や小道具に狂言のモチーフや考え方が取り入れられているそうですが、さりげないかんじでした。出演者の人数といい、最小限で語る、見せる演出だったかなって思います。
・今日は上演後、野村萬斎さんのポストトークがありました。なんて、幸運!そこで、構成や演出のいろいろなお話がありました。面白かったです。得しちゃったな♪
劇団☆新感線 SHINKANSEN☆RX『ZIPANG PUNK~五右衛門 ロックⅢ』
・面白かった!三浦春馬さんのあの躍動を観るだけでも、よかった!と思えます。特にファンと言うわけでもないのに、舞台ってこんなにいいものだと思わせるんです。
・麿赤兒さんがいい!それ以上は言えない。
・歌多め。第一幕はちょっと「五右衛門なのに物足りない」って思いますが、第二幕で取り返してくれます。五右衛門ロック的には75点。でも「生きる!!」って思っちゃうし、舞台の高揚感でペットボトルのココアと、パルムのアーモンド&チョコレートと、モンテールの牛乳と卵のエクレアを買ってしまいます。帰り道が雨でも全然平気よ!
・ネタバレ感想はidページに書きます。
「阿修羅のごとく」出演:浅野温子 荻野目慶子 高岡早紀 奥菜 恵 林 隆三 加賀まりこ
・向田作品を読んだことがなく観たこともなく、熟成された恩讐のめくるめくドロドロ展開に決まっている!と身構えて観に行ったところが、見終わって「面白かった!面白かったよ!!」と天を仰ぎたい気持ちに。
・舞台では描き出しきれない部分もあるかと思いますが、「インファナル・アフェア」を観ずして「ダブル・フェイス」が面白かったと言っているようなものかもしれませんが、舞台作品として面白かったです。
・なんたって日本屈指の業が深い(と思う)女優の競演に林隆三とか。な…[全文を見る]
「ジーザス・クライスト・スーパースター」
・神永さんのジーザスがとてもよくなっていました。前半はまだ声が細いときもありましたが、後半はどんどん力強くなって、ゲッセマネの園が終わって場面が転換したときは、まだ終わらないでー!と思いました。エルサレムVer.の時は線が細くて場違いな荷を背負わされたジーザスっぽかったのが、今回は立派な教祖に思えました。
・芝さんのユダ。貫禄があって、常識人ぽくって、ジーザスを裏切るのも保護者がついに見限った感がありました。が、ちょいちょい見せるマリアへのいら立ちと、自殺直前に歌う歌がマリアのナンバーなと…[全文を見る]
『ジーザス・クライスト・スーパースター』神永東吾、金森勝、高木美果
・芝さんが体調不良でジーザスは神永東吾さん。若干線が細く、声が澄んでいて、若々しいかんじでした。
・「世間知らずで繊細で傷つきやすい若者ジーザスと、真面目に生きてきたのに彼と関わったために転落する大人ユダと、肝っ玉姐さんマリア」というかんじでした。
・芝さんのジーザスを観たときは「表も裏も知り、少し世に倦んだすれたジーザスと、純粋で彼を盲信するあまり転落するエキセントリックボーイ・ユダと、女子力の鬼マリア」とかんじました。(個人の感想です)
・ヘロデ王、露出控えめ…[全文を見る]
『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』@Zepp DiverCity Tokyo
・ハコが変わって2回目。すごく前の方で観られて感激です。
・森山未來さんの歌!動き!表情!汗!1秒も無為な瞬間がありません。
・前回いろいろショックで引っかかった部分はやはり気になりますが、今回は考え込む間も与えられないかんじでした。
・観てただけのくせに、声が嗄れて出ないんですけど、なんでしょうか。入り込み過ぎたんでしょうかね。
『黒塚』ETV録画 市川猿之助、團十郎、門之助、右近
・これは…ミュージカル!?第二幕のぐるーぶ感ったら、ステキ!
・背中に背負った柴の中に一輪白い花(桔梗?)があるのが切ない。
・鬼女の演出、隈取りもライティングも動きもバク転ではけるところも、どれもよかったけど、第二幕のどんどん嬉しくなって童心に帰って踊る姿が一番よかったです。
『サイケデリック・ペイン』@サンシャイン劇場
・バンド、生演奏なんですよ!綾野剛さんのギターも内田朝陽さんのキーボードも!ドラムとベースは本職の方ですが、福士誠治さんのvoも、バンドらしいMCもよかったです。
・新感線風ではあります。比べちゃうと、そりゃ、あれですけど。でも、そういうところも最終的に清々しく、やりきった!ってかんじで終わっていてよいです。
・「ヘドヴィク…」で考え込むところが多かったので、すっきり楽しめてよかったです。
・残念なのは、ソフィのCGがマリンちゃんレベルのクオリティだったこと…。ちょっと古くさい近未来なので、狙ってああなのかな…?
・片瀬那奈さん、かっこよかった!
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ@o-east
・森山未來さんは、すごいや!歌って踊って、それで完璧に演じている!で、楽しんでいて苦しんでいる。
・ロックミュージカルと銘打ってありつつも、ライブ感覚で見てほしいと言ううたい文句でしたが、一人芝居或いは朗読劇に近いかんじがしました。
・山本耕史さんのヘドヴィクが観たくて再演を待っていたら、森山さんがやると知って、それはそれで大喜びで観に行ったわけですが、山本さんのも観たいです。観たいんです!
もうちょっといろいろ(ネタバレ含む)の感想はidページに書きます。
ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ@o-east
とにかく斬新。舞台というかライブというかミュージカルというか。
なんでライブハウスなのかと思ってましたが、納得。
森山未來くんは才能の塊なのか?演技良しダンス良し歌良しスタイル良し完璧っ!
自分の目の前で演じているのを現実と認識するのに時間がかかりました。
といってもかなり後藤まり子嬢に引き込まれました。かわいいがな普通に。
ストーリーについてはアレンジが独特すぎてどうかなって思うとこもありましたが。
o-eastでかなり近く見れて良かったです。
で、三上博史版と山本耕史版を見るにはどうしたらいいでしょうか。
「鎌塚氏、すくい上げる」(http://www.morisk.com/plays/kama2/)
三宅弘城、満島ひかり、田中 圭、市川実和子、広岡由里子、玉置孝匡、今野浩喜(キングオブコメディ)、六角精児
・くすくす笑って、最後ほろりだった、前作「鎌塚氏、ほおりなげる」よりパワーアップしたかんじです。どっと笑って、最後はめでたしめでたし。
・話はどたばたじゃないのですが、台詞のやり取りがドタバタしたかんじがします。
・満島ひかりが、頑張っています!声嗄れていますw
有名どころがこんなに出ちゃって、大丈夫なのかなーと思っていましたが杞憂でした。みなさん、見せ場があって役もハマっていて、面白かったです。今野さんは、もう少し声量を下げてもいいかと…。
「スーパー歌舞伎ヤマトタケル」市川猿之助、市川中車
・スーパー長い。けど、一幕一幕はあっという間なんですよねぇ。
・スーパー役者さん多い。どんどん出てくる。どんどんどんどん。
・市川笑也さん、スーパー絶世の美女…助けてー。
・あちこち征伐に回って大忙しでドタバタしているのに、最終幕でタケルが故郷への思慕を募らせるシーンでは胸に迫るものがありました。
母は「もうスーパー歌舞伎はいい。(体力的に)」と言っていましたが、私はもう1〜2回は観たいです。右近さんのを一度観ているから、猿之助さんで他の演目が観たいなぁ。