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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る

昨年10月10日から開始して半年が過ぎ、グループ「ハコニワ」の第一期は本日終了します。
ここを覗いてくださったハイクの皆様、ありがとうございました。
第二期はメンバーが一部入れ替わり、内容はテキストのみの投稿も可能とすることになりましたので、
明日4月1日からは新しいキーワードに場を移動します。
このキーワードは「画像とテキストの組み合わせによる創作」という趣旨に沿った投稿にどうぞご利用下さい。
 

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る


山肌に薄べにがさすころには  ふもとの街も顔をゆるませ
するとほどなく堰切るように  だれもかれもが花を咲かせる
コブシ スイセン ゆきやなぎ
れんぎょう ヒナギク チュ-リップ



彼らに呼ばれ彼らとおなじ土に立つと 私の毛の生えた心臓の
その毛もいっせいに青々と伸び 花が咲くんじゃないか  
ここではないどこかじゃなくて ここにだって花が  
咲くんじゃないかと思えてくるのだ 春は

http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090330

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る

山肌に薄べにがさすころには
ふもとの街も顔をゆるませ
するとほどなく堰切るように
だれもかれもが花を咲かせる
コブシ スイセン ゆきやなぎ
れんぎょう ヒナギク チュ-リップ



彼らに呼ばれ 彼らとおなじ土に立つと
私の毛の生えた心臓のその毛もいっせいに青々と
伸びて花が咲くんじゃないか
ここではないどこかじゃなくて ここにだって花が
咲くんじゃないかと思えてくるのだ 

春は

http://crafty-graffiti.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090318

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る

 
羊のホルン
巻き貝の殻
ト音記号
そして銀河のしじま
 

 
わたしのひとつしかないアンテナは
ひとつしかない音に出合うためにだけ
砂に埋もれた蠍のように息を殺す
 
春風があちこちにぶつかりながら
くるくると空気をかきまわす音のなかに
あなたが淹れるコーヒーの水滴が落ちていく
 
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090316
 

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る

 
磁力の拘束から放たれて
手足は
指は
散り散りに
欲しかったもののもとへと向かう
 

 
親指はギターに
小指はヴァイオリンに
人差し指と中指はピアノに
 
 
薬指はあなたのくちびるに
 
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090313

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る
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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る

 ----- 錘 ------

両の手から錘(おもり)を放したとたん
地球のまわる勢いに
飛ばされそうになって背を丸めた

啓蟄に虫は居らず

仕方なく雨は回収車を待つゴミ袋たちを叩く
てん、てん、ててん、ててててん
この捨てられた場所で
幾千のスネアがかすかなリズムを奏で続けている



http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090306

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る


あなたが話してくれるまで私は雪が好きだった
ざらめのようにあまく ガラスのようにはかなく
すべての人から愛される雪を
わたしはもう好きとはいえない

いっそ雪に罪があったらあなたは生きやすかったのに
雪を憎んで生きていけたのに 自分を殺さずいられたのに



こんなふうに ――雪のように――
人は口に出来ない想いをふやして
歳をとっていくんだろう

また 春がきてしまったね

http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090302

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る




まだ色づく前の糸柳が 
冬と春のあわいで ゆすらう
流れる葉影 洩れる光 

なにも起こらず なにもなかった
ただ何かの予感だけが 
たしかにあったんだろう
それをあなたが話したとき
頭上でモノクロフィルムが
カタカタ廻り始めたんだ 

そろそろ 柳の下でドジョウが目覚め
やわらかな背骨を動かし始めているだろうか
犬の散歩の足音を遠く聞いているだろうか

もうとうに柳もせせらぎも
わたしたちは失ってしまったのだけれど
失ったものの話をしようよ


http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090228

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--- 蝶つがいのみる夢 ----

骨盤を
押し広げたのは男ではない
だから なすがままに
蝶つがいは極限まで広がると
安らかに着地したのだ



骨盤は
誂え布団の沼底から舞い立つ
ときに なすがままに

犬に追われ
ジャングルジムの角にぶつけ
あいたたと言いながら
山の頂を上り、上りきる
雲にさえ乗れる
今やかえって届かぬものはない 
届かないのは背中の湿疹くらいだ

http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090207

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 ------ めばる -------

とげとげの 体をきーんと立てている
ほら 運動会のマスゲーム
脚を押さえられた子ども

運動場は豊漁だ
透明な大網には無数のめばる
まもなく港に引き揚げて
いいのわるいの分けられるのさ



めばるにはるはこない
ほんとのはるはうみの底だ

http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090130

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る

 
北の山に住むこうさぎは、大きな池のほとりの穴に
ひとりぼっちで住んでいました。
池のむこうを知りません。
池はこうさぎにはあんまり大きかったのですから。
 
ところが今年はきびしい寒さで、木の葉がすっかり落ちた頃から、
ちろちろ白い固まりが雨降るようにおちる日がありました。
そのうち、こんどは水面がきらきらと硝子のようにかたくなり
とうとう一枚の大きな鏡になったのです。
 
こうさぎは「池はあぶないよ」というおかあさんのいいつけを思い出して
がまんをしましたが、3日めにはとうとう鏡の上に立っておりました。
おそるおそる歩いてゆきますと向…[全文を見る]

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ぼくのいえがなくなって
すわるばしょがわからなかったら
ごはんをたべるとき
ばしょをまちがえてしまうよ
きっととうさんにしかられてしまうよ



そしたらねえさんがこういった
もうごはんはいらないし
しんしんひえるよるだって
でんきがなくてもこんなにあかるいわ

http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20090109#1231487177

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----- わすれもの -----

ツンとくる空気の中に吐き出され、ぎこちなく歩き出したら
ジーンズが湿気を吸い込んでぼくのわずかな余熱を奪っていった。

師走の最終列車に似合わぬエピソードをポケットの奥に押し込んで
真っ黒なガラスの向こうを見つめている間、ぼくは気付かずにいたんだ。
きみはたしかにいちぶんのいちたっだのに、気づけば分母が増えていた――
それだけのことに、ぼくは打ちのめされているのだと。



(by id:Sucker)

さっききみと一緒に置き去りにしたビニール傘と、今、ここで出合うまでは。


http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/edit?date=20081226

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 ----きんいろのスノーフレーク----

ある日ハチミツを探していたら突如巨大な何かに激突し世界が砕けた瞬間に
ボクは分厚いガラスの結晶に入り込んでしまってたんだ。

(イラスト提供 id:reply_only_IDさん)

ここではすべてが川底のガラスみたいに見える。
かつての想い、かつての風景。
ボクの風体が冴えないとか
君の手が遠いとか
つらい夜が明けないとか
楽しい時が続かないとか
尖ったガラスのようだったものが、今はやわらかく光ってる。
積み残しを悔いていた、たくさんの目標でさえ墓標のように美しいよ。

いつか君も見るのかな。
だったらそこにボクのカ…[全文を見る]

id:usaurara
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 ----- 禁じ手 -----


愛という名の重さが
クラッカーが鳴り止んだ瞬間の空虚を押し潰した



ごらん
きらびやかな服を剥ぎ取り
皮下の肉と贓物を晒すために
すぐさまカラスが飛んでくるだろう

願わくば
イブという名の重さが
正しくはかりにかけられるようになるといい
ただ冬のありふれた一日に過ぎないと


この禁じ手によって

http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081224

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-------- デブリ --------
 
 
静寂に浮かぶゼラチンの月を
横目にかすめて僕はゆく
森永エンゼルの
歌などくちずさんで

[:w500]
(Pictured by id:NR_result_true)
 

人はゆきかう船なのだ
丘をはなれ 
星におかぼれ
おこぼれを探し
うかばれぬ骨を拾う
 
それは海月の水死体
海と空のはざまに
迷子(デブリ)となった海月の骨だ
 
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081129
 

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------ 紙ロケット -----
 
等間隔のパイプと日差しが迷いの無いコントラストを作る場所で、
ここにいない水鳥の羽毛、目に見えない排気の粒子、あるはずのない煙草カスなんかが
絡み合い、ひとつの繭を作っている。
 

 
屋上とはそんな場所だ。
風の息遣いだけが渡るコンクリの上で繭が高く持ち上がっては地面に落下するのを、
私たちもまたひとつの繭のようにカーディガンを分け合いながら眺めていた。
風はそれをさらおうと試みてしばらく吹いてみたものの叶わずに、
かわりにお日様に薄くかかっていた雲を追い払ってから、ふっと止んだ。
フリーズした動画の…[全文を見る]

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「ハコニワ」―画像とテキストの組み合わせによる創作―のことを語る

 
 ------ シルク・記憶 -----
 

 
赤い膜が作り出す体内世界に篭り
透過する光のグラデーションに浸る
繭のなかに閉ざされているのは
音だろうか
色だろうか
時間だろうか
 


 
横切るハイヒールの音も
女たちの嬌声も
投射された映像のようにかすむなかで
わたしは確かな骨格の生き物の
あらゆる陰影の記憶を
蚕のように紡いでいた
 
シルクを輝かせるのは光の記憶だ
草を食むとき浴びた陽の記憶だ
絹は摺れるときゅんと鳴く
悲しそうに小さくきゅんと
http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081119#1227083836
 

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 --- つきのうた ---
 

(Pictured by id:amesuke)
 
 
今夜は満月
金魚は酸欠
 
支払い来月
なのに金欠
 
あなた冷血
わたしゃ貧血
 
わかった採決
くだらん判決
 
鳴るのはバケツで
掘るのは墓穴
 
目指すは高潔?
そんなの凍結!
 

げつげつかーすいもくきんきん
あなたと見たいこの満月
 
 

http://hakoniwa.g.hatena.ne.jp/usaurara/20081112#1226499679