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id:usaurara
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わにの夢

 オフィス街で一番高いビルの屋上に巨大な恐竜の卵があって、人々はそれを見上げながら日々の生活を営んでいるのだった。
 例えば行き詰まった会議の最中だとか、ミスの責任を押しつけようとする電話を怒りながら切ったときだとか、出退勤時に重い身体を引きずって歩くときだとかでも、ふとビルの屋上でまだら色をした卵が今にも転げ落ちそうな様子をみていると、なぜだか奇妙な安心感を覚えるのだ。
 ある専門家が云う。
「この卵は生きていて、厚い殻の中にはタイノレックスが息づいていて、そうしていつの日か孵るのだ」
 今日も吹く風は緑に薫り、花…[全文を見る]

id:florentine
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 結婚しない男
 
 人間四十にもなって独身でいると、世間での風当たりがやけに冷たい。しかも、なにか酷く都合が悪いことであるらしい。
 とはいえ少なくとも彼本人は、なんの不満もない。料理掃除洗濯は同居の兄嫁が家族全員平等に面倒をみてくれている。また、その仕事場である工房は弟子と主が働きやすいようきちんと整理整頓できていて、金勘定にも不便はない。万事これでうまくいっているのだから、嫁を貰えと説得されるいわれはない。
 しかしながら、そう考えているのはサンドロ・ボッティチェッリ本人だけであるようだ。縁談を持ってきたのは彼を特別に贔屓に…[全文を見る]

id:gustav5
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さっきからよりによって本降りになってきた。もうちょっと話ていたい気がしてたのだけど、雨音がちょっとうるさい。でも、決して不快ではない。不快ではないんだけど、帰りのバス停でのバス待ちを考えると億劫なのだ。そのことを思い起こさ説程度の雨音だった。その雨音が気になったのか、一瞬こちらの心がここにあらず、というのを感じ取ったのか、相手も窓の外をちらと見た。そっか、あめか、とつぶやいたあと、こっちをみて確認するようにいった。
「雨が降ってきちまってるね」
こんなことなら早く帰してあげればよかったかな、けっこうしゃべっちまって、ごめんなー、…[全文を見る]

id:say-01
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妹の学校でお昼の放送にボカロ曲をかけるのが禁止された。
機械だから?歌詞がわからないから?
どうせそんな理由だろうと想像しつつ、私は母校であるその中学に問い合わせてみた。
納得できる理由でなければ妹のために戦うつもりだ。
問合せに応じた教頭はただ「数日にわたりボーカロイドとやらの曲ばかりかけていたので禁止になった」と短く説明してくれたのみだった。
私はさらに部活の後輩や友人から情報を集めた。

まとめると、事実はどうやら私が想像していたのとは違っていたようだ。
妹の学校では、私が卒業した翌年に放送委員が廃止され、昼の放送も教師によって…[全文を見る]

id:marukomekid
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中世ヨーロッパ。そこでは東方にあるエデンを目指す旅があった。
中世東アジア。そこでは西方にある極楽浄土を目指す旅があった。

しかし、そこにはそんなものはなかった。
そこにあったのは砂漠だけだった。

彼らは反対側へと旅に出た。
しかし、そこにも何もなかった。
そこにあったのは広大な大地だけだった。

そして気付いた。
楽園は見つけるものではなく、作り上げるものだと。

そして、現在。
作り上げた楽園は自ら失われた楽園へと変貌しようとしている。
人類の楽園探しの旅は終わらない。

id:zushonos
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政府は、『地球上どこにいても、すべての人に等しく振りかかる、生命維持に悪影響を及ぼす要素』を発表。
現存する技術ではこれを防ぐことはできないので、冷静に対応してもらいたいと呼びかけ。
観測が始まって以来、ほぼ一定の割合で推移しているという。

マスコミや市民は
「極に近い地域では異なるはず」
「東に向かって移動し続ければあるいは」
「エンリケ・ガスパール・イ・リンバウが提案した技術が使えるはず」
などと騒ぎ立てたが、いずれも実効性はなく、甘んじて受け容れるしかなかった。





時間

id:kutabirehateko
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今直面している問題
 
日付を入力するときに、いまだに、「2010」が打ち辛い。
はっと見ると、「2001」になっている…。
そのうち慣れる、きっと、慣れる~。
by shino-katsuragi 2010-01-19 17:20:23
 
今直面している問題 Reply to
 
そしてある日のこと。ふとマウスを時計に合わせると、日付が2001年と表示されていた。
おかしい、いつの間にこんなところまで。
 
そういえば時間あわせもずいぶん長いことしていない。
このパソコンは、なぜか時間が少しずつ遅れていく癖があって、最近はパソコンデスクの前に小さな鳩時計をかけ、液晶の時計は当てにしな…[全文を見る]

id:kuchako
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今日見た悪夢夢の一部より。

なぜか仕事でモデルをやるはめに。
こんな体型でできるわけない。と反対するが、それでも良いから。と
参加させられる。
歩き方を勉強した後、スーパーモデルにまじりリハーサルをするが、
偉い人(デザイナー?)に「そもそも足が短すぎる!」と叱られた。
そもそも足の短さをだけでは無い体型の癖に、行き場のない憤りを感じた。

id:usaurara
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募集要項
 ・ハロウィンをテーマにした短編作品をお願いします
 ・募集期間 10月25日から27日くらい
 ・本文とは別に必ずタイトルをつけてね
   
 優勝作の選出法
 ・29日深夜11時59分、「人気順」で一番上位にあった作を優勝作とします
 ・優勝作を書いた作者が今年の、かぼちゃ大王なんだよ!
 
投稿はこちら→ハロウィン超短編まつり(>w<)2010
 

id:say-01
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あの男とオフで会った者は、一人残らずハイクから姿を消す
そしてツイッターが落ちた時だけ現れるようになる

id:say-01
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その人とはメールを交わすだけの友達だった。
庭で育てた花の写真を毎日送ってくれた。
あんまり上手な写真ではなかったけれど、ひきこもりがちな私の心を温かくしてくれた。
しばらくののち私は殆ど登校できなかった学校をやめて、少し離れたところに転校した。
その頃から、その人から送られてくる写真がなんだか違う様子に見えた。
学校で新しくできた友達がふと覗き見て言った。
「それ、図書室の図鑑の写真を写メったの?」
私はどういうことか理解できず、とにかく図書室でその図鑑を探した。
図鑑は借りられたままだった。
私が転校してくる少し前からずっと。
図書係がこっそり教えてくれた。
どういうわけか、とにかくそれを借りた生徒はずっと学校に来ていないらしい。

id:MANGAMEGAMONDO
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「どこに行っていたの?」
「自分探しの旅……っていうか今、妙蓮寺」
「乗り過ごしたの?」
「コッチジャナイ。なぜオレは対岸にいるんだろう?」
「今、いくら持ってるの?」
「えーと、引き出物持ってて……三次会も行ったから……」
「で、今、いくら持ってるの?」
「えーと、今の時間ならまだ電車あるから」
「だーかーらー、今、いくら持ってるの?」
「あ、ハイ。5000円くらいアリマス」
「そう、ごくろうさま。じゃ、さっさとタクシーで帰ってらっしゃい」

id:MANGAMEGAMONDO
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アカシアの雨にうたれてこのまま死んでしまいたい……

空の近く、森の高い梢にアカシアの白い花の靄がたちこめる。
カスミソウのように純白でなく、フジのように艶やかでもなく、
濁り湿った乳色の粒が色濃くなってきた木々の葉の緑を滲ませる。
アカシアが咲く梢を眺めては、中空高くふわりと舞い上がり、
その白い靄に吸い込まれるさまを夢想し、憬れる。
甘く芳しい蜜を湛えたアカシアの雨に満たされて、溺れ死ぬ。
白い靄に群れ集うチョウやハチ、小鳥たちがそうしてきたように
その香に噎せ返り、そして眠る。
連綿と続く営みを何年も何十年も見つめてきたアカシアに看取られたなら、
無限と続く短い命の鎖に入れるだろうか。ひとつの環になれるだろうか。
ミルクティー色の水溜まりのごとく足下にくすんだ花弁を敷き詰めた……

……アカシアの雨にうたれてこのまま死んでしまいたい。

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【サンダルおじさんの挫折】
http://h.hatena.ne.jp/naming_ohji/9234077188272692257
 
サンダルを履いたおじさんなら、この町でも珍しくもない。
サンダルおじさんがサンダルおじさんと呼ばれるのは、彼の特殊なサンダル使用法に因る。
サンダルおじさんはアーケード街のシャッターが降り始めるころ現れて、スーツの内ポケットからサンダルを取り出し、肩、太腿、背中に打ち付けて「パカポコパカポコ」とリズムを奏でるのだ。
 
ゆらゆらと気持ち良さそうに揺れながら、サンダルでリズムを刻むおじさん、
アーケードに反射して、響き渡るサンダルのパーカッション、
駅…[全文を見る]

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では、講義を再開する。
ヒエラルキーの高みを目指して掛けあがる際、割りに合うことをどこかで念頭においておかなければならない。
そのヒエラルキーの底辺がどこにあり、どれくらいなのかも把握しなければならない。
そして、底辺を把握したあなたは紆余曲折(底辺から頂点に直角に行くのがもちろん早い)して頂点を目指して掛け上がる。
底辺の度合いや頂点への道程が長いほど達成感や優越感が膨らむだけでなく、現実の優勢にも繋がる。
結果は数値として表示される。
道半ばで挫折した場合、その位置のラインを把握しておけば自己の存在をこれまた数値化して残すことが出来る。
  
「せんせー、これがわかると何がわかるのですか?」
なぁに、簡単な算数をしているだけだ。慌てることはない。
  
いいか、これが社会の三角形の面積の求め方だ。

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昔の片思いの人がいた。
でも、一言も会話しませんでした。できませんでした。
過去の片思いなんてそんなもんですよ。どうせ。
勇気という言葉が辞書にない自分に、好き、って言える勇気があるはずもありません。
過去は過去として過去となるのが運命なのです。それがわからないのですか?
一歩踏み出せば世界が変わるって言うけれど、それはどんな世界ですか?
人類の踏み出した一歩は偉大だが、自分の踏み出す一歩は淡いものでしかありません。
立ち止まったっていいじゃないですか。
熟考はビビリと表裏なら、一歩は勇気と無知の表裏なのだから。
そして、自分はそこにいる。

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ここは(-1,0)と呼ばれる地点の海上。
館長は双眼鏡を片手に遠くを眺め、航海士に尋ねる。
「おい、西に見えるか?」
「一つ、3キロの地点に見えます」
「東は?」
「一つ3キロの地点に見えます」
「我々は今どちらを向いている?」
「南を向いています」
「仕方ない、ゆっくり旋回しながら東に向え」
「ハッ!!」
さて、次は(2,0)か・・・
「って考えるわけだ。」
「座標を航海に見立てるなら防衛学校でも行けや、この戦術オタクが。」

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おととい襲来したミストラルは55時間わたしのからだを貫いて、
そして好きなだけ吹き荒れて、やや湿気を帯びて、今朝飛び去った。
今週末の夜、プロヴァンスに吹くミストラルには、
ほんの少し、わたしの愛とアジアの熱気を帯びていることだろう。

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今朝は雨だが、9時、きっかり5分前に、その男はやってきた。
白髪染めはしているけど、まだらに落ちて、カーキ色のコートは肩がまだらに濡れている。

男が無表情でカウンターに立つと、おそらくパートであろうおばさん
――よく見れば、新珠三千代みたいなつくりだと気づく。
ビニールの前掛けに白い長靴、それに少々、肌がかさついているのが残念だ――が、
ひらりと彼のほうに向かって、身をひるがえし、
薄めの笑顔で「いつもの?」と尋ねる。
男が無言でうなづいてから、きっかり2分22秒で
カウンターに湯気のあがった“たぬきそば、わかめ、卵入り。ねぎ大盛り”が供され、
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霞が関からの渋滞はひどい。
しかし、毎年のことだからあまり気はしない。
周囲からは下りのことを「天」と呼ぶらしい。私はそう呼ばれる理由は知らない。
上りはいつも空いているというのに。
先日、その渋滞を管理していた団体が変わったらしい。
慢性的な渋滞をなくすらしい。
なんといっても高速道路を無料化するとかいうそうだ。
上りはいらないぞ。
天下りの車線だけどうにかすればいいのだからな。
さて、高速道路に乗ってどこへ行こうかね。