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最近読んだ本のことを語る

『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』 佐倉色、飛鳥新社

すさまじかった。身近にいる仕事が超絶できない同僚からかけられた迷惑や無礼をありありと思い出してしまったり。しかし、きっとこのおかしな編集者と編集長は変わりもなく仕事してるんだろうなあ。

なお、ずっと出版関係の仕事をしているけれど、こういう無能としか思えない編集者や社員っていうのはクリエイティブ系じゃなくてもわりといます。残念ですが。今いる会社で試用期間終わったあたりで能力が足りなくて辞めて行った方がいるのですが、その方のうちに来る前の仕事と、うちを辞めたあとの仕事はマンガ編集者だったり。

なんでそうなのか?を考えると、編集者が感性75%:事務能力15%:国語能力:10%でOKと思われてるからじゃないかと思うのですよね。むしろ、事務能力50%:国語能力30%:感性20%くらいじゃないといけないのでは、と他山の石として思うのですが。

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昨夜、『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』を一気読みして弊社のアマチュア新人(もう新人じゃないけど)の無能さをありありと思い出したせいか、今日の夢は変な夢だった。

二度目の夢の中でごはんの用意をしている。かなり大きな白くてラグビーボールを半割りにしたようなお皿に、大中小のオムライス、食パン一枚の上にドミグラスソースのハンバーグ、もう一枚の上にスクランブルエッグと(まだ玉子食べるのか!)南米でよく食べられる塩味の豆の煮物。

そして一回、目覚ましでうっすら起きて、三度寝へ。すると、なぜか豆の煮物ののった食パン一枚しかお皿…[全文を見る]

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『目黒考二の何もない日々』
213/289ページで、椎名誠が目黒考二の生活が「そんな人生」だと2013年まで知らなかったことにびっくり。しかしシーナ&メグロの仲でさえこうなのだ。ひとを知る、というのは難しい。

201-202ページに書名の誤字。『リンネとその使徒たち』の使徒が3回の登場とも「使途」。妄想族なので「リンネ(略)の使途」の文字列に、付箋を丹念に資料に貼るリンネの姿を幻視。しかもキラキラネームふうに♡付きひらがなで「りんね♡」の名入り付箋。
また246ページ2行目の御楽園→御薬園。小石川の話なので後楽園の誤字かと思ったら。

『本の雑誌風雲録…[全文を見る]

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『チベット潜行十年』 (中公文庫)木村 肥佐生

中学か高校の頃に図書館のハードカバーで読んだものを文庫版で。あの頃
より脳内に参照項目が増えたせいか、同じものを読んでいても印象が異な
る。あの頃は文中の木村さんと5歳くらいしか違わないのに、はたちを超えて
いるというだけで「大人」であり別の世界の人のように感じていた。今は「こん
な美男で(チベットに行く前、紅顔の美少年の写真や青年時代の写真があ
る)はたちそこそこでこんなに頭が良くて情が厚かったら男女ともにモテて当
然だな!」と思った。また、日本人が捉えるチベット語のカタカナ表記は、今
もさほどかわらないように思う。

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『書き下ろし日本SFコレクション NOVA+:屍者たちの帝国』
(河出文庫 お 20-12 書き下ろし日本SFコレクション)

前半はラーメンでいうと全部盛り、みたいな作品が続く。特にあれもこれも
と盛り込んでのパスティーシュには二次創作好きとして大満足。しかし2/3
を過ぎてオオトリの宮部みゆきの手前の作品は切なかった。実在の子ど
もの空想遊びから取られた作品は、モデルの子どもを社会的に屍者化す
ることが可能だ、ということが、『クマのプーさんと魔法の森』を初読したと
きの物悲しさとともに感じられてならない。そしてその次の宮部みゆき作品
中の屍者の元ネタが(あるとするなら)わからなかったのは残念。

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『子は親を救うために「心の病」になる 』(ちくま文庫)高橋和巳

元被虐待児の自分がなぜ周り、親、社会となかなかうまくいかなかったか
がクリアになる。性格の中心にある怒りについては、「辛い生き方を背負っ
ているとその怒りの部分だけが強くなって、他の穏やかな感情が相対的に
抑制されてしまう」で腑に落ちた。自分への理解が進んで前を向ける点で
は、『毒親』本よりこの著者の本がわたしには向いている。エピローグで読
む自分への理解について「親をもてなかった人々にも心の解決があった。
(略)悩みを解決するということではなく、自分の存在を確認するということ
であった」まですべてが繋がっていく一冊。

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『消えたい: 虐待された人の生き方から知る心の幸せ』高橋和巳

衝撃的だった。自分が被虐待児だと気付いてからサバイブしてきた方法が
間違っていなかったとわかったのと同時に、虐待されなかった人たちと自分
がどう違うのかわからなかった部分がよくわかる本。自分がサバイブできた
のは、少なくとも食事に関しては栄養士というプライドからか母が力を入れ
ていたせいもあるのだろうと感じた。また、多数の臨床例の被虐の悪しき影
響から抜け出た「もう一人の自分」に強い感謝を感じ、カウンセリングにまで
たどり着けずに「消えた」であろう被虐待児、いまだ不調の理由を知らず苦
しむ被虐待児への哀しみを感じた。

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文庫版の装幀も、帯にいたるまで凝っていて、うれしい。

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『革命の季節』重信房子

いろいろと腹立たしい本だった。椅子椅子団に絡めて、アラブの対西欧側の視点がわかるかと読んでみたのだが、まずタイトルに首を捻る。

「政治の季節」からのパラフレーズなのだろうが、今もシーズンレスに、しかも著者が活動していた頃より苛酷な状況にあるパレスチナ人を思えば、こんなタイトルはつけられないのでは、と思う。

また、一般人を巻き込んで死なせたテロ、人質を盾にしての金銭を要求するテロに、どこかでおかしいと思っていたのかもしれないが関与しておいて、「あの頃を懐かしむ」ていの「革命の季節」というタイトルをつけるセ…[全文を見る]

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飯間浩明『辞書を編む』光文社新書

三浦しをん『舟を編む』を読んだり見たりした方にはぜひ。まだの方はぜひセットで!「語釈があまりにおもしろすぎるのではないか」問題などに、クスッと笑いながらも、校閲の仕事柄、言葉への真摯な態度に打たれた。230頁の小型辞典の特色は、辞書選びの参考にもなる。

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『新・戦争論 僕らのインテリジェンスの磨き方』池上 彰、佐藤 優

「要するに、『嫌な時代』になってきたのですよ。これからの世界を生き抜くた
めに、個人としては、嫌な時代を嫌な時代だと認識できる耐性を身につける
必要がある」とあるように、気分が明るくなるような本ではない。ああ、やっぱ
り、やれやれだな、というところ。でもそれを認めないと先に進めない。それに
人類は愚かな歴史だけを繰り返すのでもない、と思いたい。

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会場入り口の筒井康隆の言葉も収録され、カラーページもたくさん、年表もついて、星新一の原稿用紙のマス目と比較できる異様に小さい字のショートショート下書き写真が18-20ページに採録、と、えーと、また会場を巡りたくなる困った本です。

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『シャーリー』(実質、一巻)森薫
2巻が出たので再読。ほんとに小さい子なのにがんばるなあと思いつつ、そのメイドとしての手際の良さはどうやって身につけたのか、気になる。アン・シャーリーが双子の世話で否応なく子どもの世話を身につけたようなものかしら。あ、思えば2人は同年代ですね。

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『フラニーとズーイ』サリンジャー、村上春樹訳
25頁にして、フラニーがいけすかないと思う世界の構成人物が「やれやれ」というので困ってしまった。なにせ、村上春樹の「やれやれ」は、色が付きすぎている! それはともあれ、作者はトルストイ的なキリストを、意識してかどうかはわからないけれど、復活させることに成功している。それが村上訳ではよりはっきりとわかる。自分は他人とは違う、と思いたい若い人には、この一冊は衝撃にも救いにもなるだろう。

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『シャーリー』 2巻 (ビームコミックス)森薫
すてきなお姉さまな女主人と少女メイドのかわいい生活ふたたび。
とはいえ一巻のこと、すっかり忘れていたので、明日一巻を再読しようと思います。
そして、二巻はあとがきマンガが熱かった!
「メイド漫画を描かせておけばおおむね健康」から始まり、最後の魂の叫びまで万遍なしw

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『松嶋×町山 未公開映画を観る本』
オセロの松嶋さんの「特にアメリカに詳しくないフツーの日本人女子」としてのツッコミやボケがとてもいい。けど、いくつか、いや、けっこう、町山さんの別の本で紹介されてた映画がかぶってたのが残念。

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『宝石の国』2巻:市川春子
もっとも硬度の低いものの変化は、種属全体の進化に繋がっていくのだろうか? 今回も「わ、そんなとこまで割れちゃうの(//∇//)」と、丸尾末広や綾波レイの眼帯少女やマシュー・バーニーの『クレマスター3』の義足のアスリートに感じるものに通じるところのある、エロティックな場面を楽しみました。PVもなかなか素敵……!

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『石井桃子のことば』中川李枝子、松居直、松岡享子、若菜晃子、ほか

豊かとはいえない時代から続けられてきた偉大な仕事に茫然とする。そして偉大な仕事をなす人には、よき師、先輩、同僚、仲間、そしてよき友人がいることを実感。周辺の人々の思い出のページからは、偉大な仕事から少し離れた横顔や後ろ姿が垣間見えて、感慨深い。また、先日読了した本での荒俣宏の読書への態度が、石井桃子のそれと相似形であったことを発見。「いい本を読んだことが、必ずしも世の中に出て立身出世ということに結びつかないんですけど(笑)私は、それでいいと思っているんです。子どもの読書はたのしみで、心をふとらせるんです」

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『宝石の国』1巻、市川春子
割れた宝石の腕や足の断面にエロスを感じて「鉱物がエロいとかなにごと!」と思うけれども、上半身が少年、下半身が少女という造形だから、エロくて当然か、と思い直したり。モーさまの『百億』、少女革命ウテナ、まどか☆マギカ的ななにかを内包しつつも煌きがそれらを超えたオリジナリティを放ってる。続巻も少しずつ読んでいこうっと。

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『きのう何食べた?』9巻、よしながふみ

寝る前に読んでしまったことを激しく後悔。いつもながら食べたい作りたいメニューがたくさんありすぎる。あと、主人公に年齢が近いので、加齢に伴うあれこれが身にしみる。

それとは関係なく、帯が微妙にシャツの裾にかかってるので、帯の下はまさか水着? とかハァハァしましたが、もちろんそんなことはありませんでした。