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待つことを我は選びぬ夜の街に風と風との出会ふ音する(栗木京子)

…覚悟を持って<待つこと>を選ぶのが安易でも逃げでもないことを、掲出歌が教えてくれた。待っているとき、人はほかのことをしているように見えるかもしれない。何もしていないように見えるかもしれない。でも本当は、近づいてくるどんな小さな足音も聞き逃さないよう耳をすませているのだ。ざわめく夜の雑踏の中、<風と風との出会ふ音>を聞き分けてしまうくらいに。

佐藤真由美 『恋する言ノ葉』 p.157 (集英社文庫)

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 どんなに好きでも、人は誰かを所有できない。「わたしだけのあなた」にならないのなら、恋人が自分のたましいを半分持っていてくれたらいいのにね。心をささげるって、やっぱり少しエゴイスティックな行為。それを分かっているから、願うだけだ。<果実のように>受け取ってもらえたらいいのにと。

佐藤真由美 『恋する言ノ葉』 p.53 (集英社文庫)

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長らえばまたこの頃や忍ばれむ憂(う)しと見し世ぞ今は恋しき(藤原清輔)『新古今和歌集』

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磯城島(しきしま)の大和(やまと)の国に人ふたりありとし思はば何か嘆かむ(詠み人知らず)『万葉集』

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 休息、休息と富というのか__そういうもののありがたさが分るのは不惑を過ぎてからだな。しかもだ、不惑のあとに、人生が半分残っとる。思うだに胸キュンじゃ。きみ、若いひとはそのことを肝に銘じとかなきゃいかん、そうすりゃ人生最悪のミスはたいてい避けられる。二十歳の人間がみんな、人生の半分は不惑を過ぎてからだちゅうことを自覚してくれればだな……。 (p.191、イーヴリン・ウォー著『大転落』)

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こちらでもこんにちは!
 
じつはわたしもその「読み」で読みました。>苦いもの&マニフェスト
自身の蔵書に自作をいれようとしなかったボルヘスらしい言葉ですし、ほんとにこう「救われない」感ありありの、それこそゴンブローヴィッチだったかが「辛気臭い」と称した(ていうはなしだったと思うけど、何で読んだのかすら忘れましたーっ! 勘違いかもしれません でも、ゴンブローヴィッチなら言いそう! 笑)ボルヘスの真骨頂だと思うのですよ。
そういえば、50年たたない本は読まない(でしたっけ?)と言い切ったのもボルヘスですし、創作の態度、つまりマニフェ…[全文を見る]

id:florentine
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「えーと、もう、富野のリアルはリアルすぎてカッコよくないんだよ。
だってさー、あれですよ。普通、ファンはランバ・ラルを男の中の男だと思って燃えて見たいわけですよ。そこで、富野は「なるほど、イクサバカとはああ言う男の事か」とか入れちゃうの。で、ランバ・ラルは馬鹿扱いされてマ・クベの派閥争いの間で補給を断たれて死ぬの。ふざけてるのか!
ギレン・ザビの演説とかもファンはカッコ良いと思って見てるわけですよ。ジークジオン!って叫びたいわけよ。
でもね、富野演出としては「ガルマの国葬演説は全世界に向けて放送したギレンが、ア・バオア・クーでは自…[全文を見る]

id:florentine
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「私は作品を書くとき、読者のことは考えません(読者は架空の存在だからです)。また、私自身のことも考えません(恐らく、私もまた架空の存在であるのでしょう)。私が考えるのは何を伝えようとしているかであり、それを損なわないよう最善を尽くすわけです。若い頃には、私も表現というものを信じていました。 」ボルヘス『ボルヘス、文学を語る―詩的なるものをめぐって』岩波書店
 
拙作『夢詩壷』(http://karakusaginga.blog76.fc2.com/archives.html#all20)という作品の冒頭部、主人公の一人称語りの途中、キャラ同士に、
 
「さっきからずっと、誰に話しかけてる…[全文を見る]

id:o_ne_i
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みせかけの友だちを100人得ることよりも、
たとえ、たった自分ひとりでも満ち足りた時間を持てることのほうが、
大人になるプロセスにおいては100倍も大切なことです。

『叶恭子の知のジュエリー12ヵ月』

id:dominique1228
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先日、富山市で日本音楽療法学会が開かれました。そこで私は、「こきりこ節」という唄と踊りを目にしました。……
 今回の学会では、音楽の臨床利用についての発表がありました。米国・コロラド州立大学の脳神経学者マイケル・タウト博士によると、人が音楽を聴いた時、聴覚中枢以外の脳の各部、前頭葉、側頭葉、後頭葉などに微妙な影響があり、脳の機能が活発になることが実証されたということです。
 タウト博士は、「音楽は脳の生物学的言語」と結論されました。音楽は、病気の治療やリハビリテーションのためのある種の「言語」になっているというのです。人間の心は言…[全文を見る]

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「性格異常は病気ではありません。
本人に治ろうという意思が無くてはカウンセリングの意味もないのです。」(森依四月)
――『恋愛的瞬間』⑤ 吉野朔実

id:hide-psy
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「強いられた政治的意見」は「自発的な政治的意見」より歯止めを失って暴走する傾向が強いことを案じているのである。
歴史を振り返るとわかるが、「強制された政治的意見」を人々は状況が変わるといとも簡単に捨て去る。
後になって「ほんとうは反対だったのだが、あのときは反対できる空気ではなかった」という言い訳が通ると思えば、人はどれほど過激な政策にも同調する。私が恐れるのはそのことである。

多数派であることのリスクについて/内田樹の研究室/9月20日

id:dominique1228
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【2001.8発行の雑誌に載っていたもの】
菊地「今は嫉妬の時代だから。今、嫉妬と怨念と復讐ぐらいしか人間が強烈な感情になる余地ってないじゃないですか。」
――2ちゃんねるとか?
菊地「うん。この間も話したけど、俺、2ちゃんねるがこれから救済の装置として流行ると思うんだよね。今、2ちゃんの中で愛を説き始めたら衝撃的じゃないですか。(引用者注:電車男は2004年)しかも愛は憎悪と同じくらい中毒性があるから一気に広がっちゃうと思うんだよね。で、2ちゃんねるの中で人間のダークサイドとライトサイドが戦うようなことがあったとしたら、要するに2ちゃんねるが国…[全文を見る]

id:poolame
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読書のいいところは、何もしていないように見えて、その実、何もしていないようには見えない、という点にある。そして更にいいところは、何もしていないように見えないにもかかわらず、その実、何もしていないという点にある。
(別役実『満ち足りた人生』白水Uブックス P.63)

id:dominique1228
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 この作品でキーワードになっているオペラは二つある。一つは言うまでもなく救難信号に乗って流れてきたプッチーニのオペラ「マダム・バタフライ」。そしてもう一つが、同じ作者のオペラ「トスカ」である。
 しかし、「トスカ」がなぜ重要なのか、それは意外とわかりにくいのではないだろうか。なぜなら、映画の中で特にこの作品の名前が出てくるわけでもなく、またこの作品自体、それほどメジャーなオペラというわけでもないからだ。ところがこのオペラのワンシーンが映画の中で引用され、しかもそれが象徴的な意味を持っているのである。
 では、どこで「トスカ」が引…[全文を見る]

id:dadako
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 ポイントは、心的外傷ではなく、物語。大きな物語ではなく、自分の傷にまつわる小さな物語が、特定のヒトやモノやコトとのつながりを感じさせ、私たちをささえてくれる。トラウマにかぎらず、物語は、小さな幸せの技術なのだ。
(中略)
 人生の重荷にうんざりし、単純なことを夢見るようになったとき、ほしくてたまらなくなる人生の法則がある。物語の秩序という法則だ。圧倒的に複雑な自分の人生を、「これが起きた後に、あれが起きた」という単純な物語の意図に通して再生すれば、心が落ち着く。「おれは家の主人だ」と感じさせてくれる何かが、無意識のうちに生まれ…[全文を見る]

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人間メンドクサがって体使うのが嫌になると、退化して、より厄介な事態を背負いこんじゃうんだけどな。(中略)怠惰はくせになるよ。そのくせになった怠惰が、余分なエネルギーの浪費を蔓延させるんだよ。
(橋本治/「’89(下)」河出文庫)

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 悪習に染まっていたわけではない。実行するときには、始めることにたいする抵抗感と、まねくかもしれない結果にたいする不安で、いつもいっぱいだった。想像だけが不健康な方向にもっていかれていた。1週間のうち毎日がしだいに鉛のようにテルレスに重たくのしかかってくると、からだを腐食するような刺激がテルレスの気持ちをそそりはじめた。ボジェナを訪ねた記憶から独特の誘惑が生まれた。ボジェナはとんでもないほど下品な人間に思われた。ボジェナとの関係、そのときテルレスが味わった感情は、自己犠牲の残酷な儀式のように思われた。テルレスは刺激された。なに…[全文を見る]

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 テルレスはすっかりこの連中の影響下にあった。以下に述べるような精神状態だったからである。つまり、テルレスの年齢だとギムナジウムでは、ゲーテや、シラーや、シェイクスピアを、もしかしたらもう現代作家なんかさえ読んでいた。そしてそれらが消化不良のまま指先から出てくる。ローマ悲劇が書かれ、じつに過敏な抒情詩が書かれるのだ。何ページにもわたる句読点の衣装を、やわらかいレースの透かし編みのようにまとって、抒情詩がこちらに歩いてくる。そういう文章は、それ自体は滑稽なものだが、精神が安全に発達するためにははかりしれないほど貴重である。なにし…[全文を見る]

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【手抜かり】
 話はこうだ。
 律法学者(ラビ)エリエレクが弟子たちと夕食をとっていた。召使がスープの入った皿を運んできた。律法学者(ラビ)はそれを引っくり返し、スープがテーブルの上にこぼれた。リマノフの律法学者(ラビ)にもうじきなるはずのメンデル青年が叫んだ。
「先生、何をなさるのです?わたしたちみんなが牢につながれてしまいますよ。」
 ほかの弟子は笑い顔になった。おおっぴらに声を上げて笑いたかったものの、師がその場にいるのでそれを慎んだ。ところが師は笑い顔を見せなかった。彼はそのとおりだというように頷き、メンデルに言った。
「息…[全文を見る]