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連続はてな小説のことを語る

作者が「猫ちゃん猫ちゃん」とやっている隙を狙って五郎丸は二郎の手をとり走りだした。
「よいしょ」とお休みを決め込んでいた女は驚いて転倒し、激しく背中を打った。
猫が再び金切り声をあげた。

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連続はてな小説のことを語る

初期化されたのは、作者だった

足元に温かな重みを感じて目をやると、愛おしい毛玉が丸まっている
キーボードの上の冷えきった指で背中を撫でると、胡桃を転がすような音が聴こえてきた
抱え上げて膝に乗せる
仰向けの白い腹毛に顔を埋めると、くすぐったそうに身をよじって、毛玉は小さくあくびをした
ずっと会えないでいたような、だけど、いつも一緒にいたような不思議な気持ちだ
私は猫缶を取りに台所に立つ
振り返れば、毛玉はそこにいるだろう
そして、猫缶を開けるパッカン!という音に、にゃおんと答えることを私は知っている

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霧、女、なめこ汁、ラグビーボール、「罠だ」という男。
眼球が左右に細かく揺れた後、二郎の首筋からかちっという音がした。
「遅かったか」
五郎丸は舌打ちせずにいられなかった。

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「ふにゃあああああああああああっ!!!」

突如として闇を切り裂く猫の声。

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「二郎さん……二郎さん……」
霧の中から呼ぶ声がする
あたりを見回すと一人の女が湯気の立つお椀を手に立っていた
「さあ、お疲れでしょう、これをお食べになって…」
手渡されたそれを見ると美味しそうななめこ汁だった

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早稲田大学に入学したのは二郎だった
奨学金で足りない生活費をたこ焼き屋のバイトで工面し、夜は一人アパートで制服のソースのしみをつまみ洗いする日々
今日、あのたこ焼きの数え方を聞いてきたのが作者で、助け舟を出してくれたのが五郎丸だとは気のつくはずもない
狭い室内に踏切の警報音が響き、電車の通過に立て付けの悪い窓ががたがたと音を立てる
「あぁ、あの時のウエイトレスさんはかわいかったな…」
冷たい布団に潜り込む度に思い出すのは、あの日の喫茶店のウエイトレスさんの笑顔

けれど、そのウエイトレスさんの記憶は五郎丸には移植されてはいなかった

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客の急な質問に答えられずに、青年は顔を赤くして、店長の行方を目で追っていた
「このお店は経木の舟に乗せてあるので、一“ふね”、二“ふね”だと思います。お皿で売っていれば、一皿でいいでしょうし、パック売りなら1パックでいいでしょうね。」
見かねて、代わりに答えると、客は「あぁ!あぁ!確かにこれは舟ですな!ふぅむ!これを川に流したなら、それは笹舟ではなしに、たこ舟ということになるのかな」と大袈裟にうなずいた
たこ焼きを手に立ち去る客を見送ると、青年はほっとした表情で私を見た
よじれたエプロンの肩ひもに手をやりながら、礼を言う青年は年齢よりも幼げに見えた

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「やあ、君。たこ焼きを一つもらえるかな」
作家はタコのエプロンをしたアルバイトらしき青年に声をかける。
「ああ、一つといっても、丸いのを1個、というわけではなくて、1ケースというか、1パックというのか……。なあ、君。たこ焼きの単位はなんだ?」

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スイーツ横丁の先は古びた商店街だった
シルバーカーを押すお年寄りの横を学校帰りの小学生が走り抜け、練り物専門店の前では奥様方が立ち話に興じている
電器屋の店先には、ペーパードレスをまとったキューピーや、二匹寄り添う陶器の猫が並び、奥では2台のテレビが同じ夕方のニュースバラエティを流している
間口一間のたこ焼き屋では、制服にソースをつけた学生バイトが汗を拭っていた

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カンカンカンカン

踏み切りの向こうの側にあるスイーツ横丁からはチョコレートの匂いが。
売り子のおばちゃんからマカデミアナッツチョコを試食させてもらう。
チョコが小さすぎてナッツが全く無い。これではナッツの味がわからない。

とりあえず何かしらの作品のネタにはなるだろうと、作家はナッツと猫を求め南へ向かった。

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「あなたは佐賀にいる人じゃないのよ」
そういう女の瞳には「disってるんじゃなくて」というエクスキューズがあった
では、どこへ行けばいいのだと口を開こうとする私を制して、女は踏切の向こうを指差した

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だが岩合氏の写真集でも『ごめん寝』はめったに見られない。
ねこあつめでもついに観測されたごめん寝をどうしてもInstagramに載せたいと
作家は午前2時踏切に望遠鏡ならぬスマホ片手に駆け出した。
ベルトに結んだラジオ、雨は降らないらしい。

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第二部『あおはねこであるつもりだ』

「たにぐち!たにぐち!」

とタバコくさくなってままはかえってきた。

さあ、ふらふらぎりぎりの生活をしているニンゲンとその飼い猫の霊の物語が始まります。

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そんなこんなで、ティモシー、二郎、三郎の物語は終わった
五郎丸の登場には、まだ時間がある

この静けさは夜のうちに積もった雪のせいばかりではあるまい

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微かな電子音をたてて、二郎が再起動しようとしていた。
いけない。彼らは最初に見たモノに恋をしてしまうのだ。ティモシーは二郎の再起動を止めようとして、その瞳に映っているモノを見た。
ウェイトレスさんだった。
二郎と同じ年頃の、ティモシーの職業柄の観察眼からしても、いいお嬢さんだった。
ティモシーは二郎が彼女を見つめるままにし、彼の記憶、性格を“ごく当たり前の青年”に設定した。
さようなら、二郎、別れの時だ。
もう君は幸せになっていい。

ティモシーは三郎を伴い店を出た。

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航空公園には伝説があった。ここで軍用気球の研究をしていたとき、大勢の人間が海を見たというのだ。
「それ、何の話?」と二郎は目を輝かせた。
ティモシーは言った。
「すまん、忘れてくれ」

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三人の頬にはコテの痕が生々しく残っていた
傷に効くと聞いて塗ったオリーブオイルのおかげで、肌はつやつや、張りがあって、しっとりきめ細やかだが、三人とも疲れ果てている
もうランチタイムも終わるというのに、オーダーさえしていなかった

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「いやはや、広島でのオリーブオイルのお好み焼きを囲んでのあの壮絶な戦いが昨日のこととは思えないな」
と三郎は疲れた顔で笑った。

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その時、扉が荒々しく開き、ヒゲの男が現れた
男は「何が味噌汁だ、この鈴虫が!」と天然パーマの甲冑武者を罵倒すると、無理矢理外へ連れ出した
次の旅が待っているらしい
「眠れないんだよぅ…」という声が遠ざかっていった

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もらっていた情報とあまりにも違う男の来店にマスターは思う。
彼らが来店する前にこいつには死んでもらわねば。
登場人物が増えて辛いだけでは決してないのだと念じながら慣れた手つきでマスターは愛用の拳銃にサイレンサーを取り付けた。