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『べつの言葉で』ジュンパ・ラヒリ
家庭では完全にベンガル語(両親の言葉)、一歩外に出れば教育、研究から執筆まですべて英語で生活してきた著者は、20代半ばの頃にイタリアを旅行し、イタリア語に魅了される。アメリカ帰国後、イタリア語の学習を開始し、その20年後、家族(夫とこども)と共にイタリアに居をかまえ、イタリア語での執筆を始める。この本はイタリア語での初の著書。エッセイと短編二編。
言語的に、人種的に、また女性として、マイノリティであるとはどういう経験をすることか、とか、非母語を学ぶこと自体のおもしろさ、その過程あたりが語られていて、とてもおもしろかった。
非母語を学んでる人にはうなずけるところがかなりあると思う。
これ実際にイタリア語で読めたらいいだろうなあ。

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『禁忌』フェルディナント・フォン・シーラッハ(著) 酒寄進一(訳)
・途中で「あれこれもしかしてそういうことなの」と思ったら、ほんとにそういうことだった。いいけど、いいのか?
・中に出てくる架空の現代美術作品が嘘くさくなくて見てみたくなる。
・弁護士が今まで読んだ著者の登場人物の中で一番人間くさくて癖があって愉快で、実写で見たい。
・これとか『コリーニ事件』とか読むと、法に携わる職につく者の大原則、みたいなことを考える。

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老若男女問わずで使える提案であるのに、なぜことさらに「和食」「母子を中心にする家庭料理」「日本特有の~」にこだわってしまったのか。
わたしはこの一汁一菜についてのあれこれを読んでて一番思い出したのは、こないだ読んだ三瓶明雄さんの本だった。あそこで語られてる明雄さんの日常食はこれだった。

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『一汁一菜でよいという提案』土井善晴
・最後の晩餐に何をと問われたら「おむすび(中味は問わず)と青ネギをこれでもかってくらい散らした麦味噌の味噌汁」と答えるわたしにとっては、違和感ない提案ではある。一人暮らしならこうしてそうな気がするくらい。
・まんなかのほうの、日本文化論、みたいな部分は、あまりわたしにはいただけなかった、かな。なんだか利用されてしまいそうな危うさがある家庭料理論だと思う。素朴な思い出にとどまってればなあ。
・一番の見所は、「繕わない味噌汁」と題された、土井さん一人の時の味噌汁アルバム。ほんと繕ってないわ、勇気出るわー(笑)
・図書館で借りた、帯なしでフィルムかかってる本だったのだけど、これは、帯かけたままでフィルムかけないといけない本でした。そこまでが装丁である旨、その組み立てについて、わざわざあとがきで触れられてるので。本のデザインも大事。

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『ひつじのドリー』ダーチャ・マライーニ(著) 望月紀子(訳) さかたきよこ(画) 未来社
・イタリア語仲間から借りた本。
・原題直訳は、『ひつじのドリーその他こどものためのものがたり』で、こどものためのファンタジー集。ファンタジーといっても甘くなくて、表題作は、イタリアでは小中高あたりの国語の教科書に載ってるんだそう。星新一みたいな感じ?
・王様の台所出身だが身を持ち崩し、庶民階級出身のなべを妻にした、美しくて階級意識が強い浮気性のなべぶたの話とか、右と左で夫婦喧嘩ばかりしてるエナメルの靴とか、すごい発想。しかもこれ、ちゃんとその持ち主の人生も描かれてる。わたしこのエナメルの靴の話すごく好き。
・こどもが自分で買いにくい装丁というか価格帯というか、なのが惜しい…… 
・おもしろかったので、他の本も読みたいし、そのうち原書に手を出したい。いつかわからんけど。

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『DASH村からワシが伝えたかったこと 三瓶明雄の知恵』三瓶明雄・太田空真
・図書館で借りた。うっかり読み損なってた。
・田舎暮らしをするにあたっての実践的実際的な知恵(どういう土地をどのように手に入れるべきか、どのくらいのサイズの畑をどのように運用するか、どのようにその土地についての知識と知恵を得、馴染んでいくか等々)から始まって、開拓民としての生活や暮らしの知恵などについてのインタビューが中心。
・DASH村関係の個人名や裏話はほとんどなし。
・炭焼き窯、かまど、五右衛門風呂、味噌、イナゴの佃煮、漬物、ワラジ等々の作り方とか具体的に語っている(ただ映像・画像的な補助は必要かな)。
・ノウハウのインタビュー本なので、端々に、人柄と、自分の故郷であるこの土地と人への愛情や誇りもうかがえて、それが今となってはちょっと胸を刺す。
・とてもよい本なので、再版してほしいなあ。

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『コリーニ事件』フェルディナント・フォン・シーラッハ(著) 酒寄進一(訳)

・2013年初版なんで、今ごろ?って言われるかもだけど、でも読んでないならおすすめの傑作。最近、買って貸してでも人に読ませたいくらいじゃないと本を買わない(買えない)んだけど、これはそれ。図書館で借りて読んで即注文した。
・っていうか、この本について話したいし知らせたいけど、ネタバレにせずにその理由を語れない。
・法律の勉強してる方にも話を聞きたい。ネタバレしないレベルなら、テロと報復と法律について。
・読み終わって、著者本人に思いを馳せてしまう。訳者あとがきも必読。
・誰か映画にして……! 丁寧な法廷劇の、静かな映画に。

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×ここでふたつ紹介したいとおもう子どもが
○ここでふたつ紹介したいと思う。子どもが

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『ダメ女たちの人生を変えた奇跡の料理教室』キャスリーン・フリン

・ネットでとても評判がよかった(「タイトルどおりじゃない、読む価値がある本」みたいなの)ので、図書館でリクエストしてた。
・料理について何かしら恐怖心を感じ、その結果インスタント食品を買い食べている人がいることに気づいた著者(36歳でコルドンブルーを卒業し、自分の居場所を探している)が、そういう人を集め、プロジェクトとして無料の料理教室を開いた、その過程と結果。ちなみに料理教室は、包丁の説明と持ち方から始まり、鶏の捌き方、様々な調味料のテイスティング、スーパーでの買い物の…[全文を見る]

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『片付けない作家と西の天狗』笙野頼子
・年寄り猫一匹+保護野良3匹たちと生活するため千葉にローン組んで引っ越した、その後の至福(と哀切)。でもエッセイではない。
・この本(短編集)全体のど真ん中(作者いわくここを読まねば先に進めないところ)に、猫(特に保護猫)との生活してる人にはツボにはまるに違いない数ページがはまってて、もうほんとにニヤニヤしっぱなしだった。くるねこさんちのネタみたいなあれ。
・だからこそこのあとがきは動転する。わたしは『猫道』でかこのあとがきだけ先に読んでいたので、だからよけいにその至福っぷりにつつまれたのかもしれない。
・「極左神道」の説明がとてもわかりやすかった(笑)
・わたしもしばらく天狗についてもらいたい
・それにしても次から次に一人の人を読みたくなるのは久しぶり。

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『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』
・ありきたりな例え方をするなら、もっと腕のいい職人のいる店で食いたかったなこんなネタ、って感じの寿司屋。職人がいればそこにある河豚だって食えんのに。
・マツコの知らない世界的なものを期待してたら、ちょっと分厚いキャンパスガイドだった。こういうのってインタビュアーの力量が残酷なほどに出る。
・これにこのタイトルつけた人は営業としてはうまいんだろうけどね……
・わたし個人として、古典音楽のとこだけは、ちょっと「マツコの知らない世界」だった。これもでも、藝大の魅力というよりは、古典音楽そのもの(とそれに夢中になっている(ことを言葉で説明できる)人)の魅力。

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『猫道 単身転々小説集』笙野頼子
・猫以前、の『居場所もなかった』が、読んでるときにはつらいのに、同居人に内容説明してたら途中げらげら笑ってた(自分が)。なんでだ(笑) NHKで不動産ワールド実写化してほしい。こういうのの実物化うまいはず。
・猫以後の小説は、読んでてしきりにうちの猫を撫でたくなった。出会いと同居の話は別の本にあって、こちらは、愛する大事な家族との別れをどう自分に落とし込むか、という話が主かな。『おはよう水晶、おやすみ水晶』が本書の最後の短編とあとがきの間に入る。
・図書館で借りたのだけど、かなり充実した年譜がついてるし、何度も読みたくなること必至な感じがあったんで、注文した。買って誰かに貸したくなるくらいのおすすめ。

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×もちろん生き難さがすべて消えるわけではない(確定前の年月と体験が消えるわけではないから)
○もちろん生き難さがすべて消えるわけではない(確定前の年月と体験が消えるわけではないし、寛解はあっても完治はないから)

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『未闘病記 膠原病、「混合性結合組織病」の』笙野頼子

病名の確定によって、これまでの生き難さはずっと自分の不器用のせいだと思っていたらむしろ身体的な不具合による部分が大だったとわかり、適切な投薬と治療によって確定前より「なんでも/できる」ようになる、その複雑な思い。って、わかる人多いと思う。膠原病に限らず。もちろん生き難さがすべて消えるわけではない(確定前の年月と体験が消えるわけではないから)、ということも含めて。
著者はその作品内で「私」を書きつけ続けてきた人なので、確定前の、病みぐあい、みたいなものも過去の作品に書きつけられて…[全文を見る]

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『プリズン・ブック・クラブ コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年』アン・ウォームズリー(著) 紀伊国屋書店
・たぶん新聞の書評だかコラムだかで見かけて、速攻で図書館に予約入れたんだと思う、が、何がその決め手になったのかまったく思い出せない。フィクションのつもりでいたらノンフィクションだったし(汗)
・友人に誘われ、カナダの刑務所で行われてる読書会にボランティアとして参加した著者による、読書会とその参加者の記録。著者はイギリス滞在中に夜道で通りすがりの二人組の強盗に襲われ、PTSDに長い間苦しんでいた経験あり。
・読書会って、個人的経験(学校で…[全文を見る]

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『待っていたのは』ブッツァーティ(河出書房新社)
不条理短編集。

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『プラハの墓地』
初エーコだったんだが、めっちゃおもしろかった!

個個人が持ってる偏見がどのように煽られ、いわゆる最終解決に向かっていくのか、を、あらゆるものに対する憎悪と偏見を全身の毛穴から吹き出してるような主人公が、自分の脱落した記憶を追いながら語る物語。主人公以外はほぼ全登場人物が実在した人々。
偽書作りが得意な主人公は、個個人の偏見を煽り利用することによって充分な資産を蓄えることを決意し、歴史の裏で、あらまほしい歴史を仕立てていく。

これものすごく「今」の話。嫌○、みたいなものを放っておくとどこに向かっていくか、と、その動きの裏にあるものは実際は何なのか、というのがよく描かれてる。歴史の話なのでそこは難しいけれど、でも読み物としての体裁をきっちり押さえて進んでいくので、ぐいぐい読んでしまう。
ほんと、「今」についての話。

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『われら』ザミャーチン

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『フィンランド語は猫の言葉』稲垣美晴
日本にフィンランド語の教科書も存在しない頃の、ヘルシンキ大学留学記。
著者は、死後は極楽(きわめてらく)で杉田玄白と、語学学習の苦労を語り合いたいそうな。夏目漱石や森鴎外とも、話題は尽きないだろう、と。
解題の章で、感想の手紙がサンタクロース(!)から来たところで、ちょっと泣きそうになった。

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『世界の言語入門』黒田龍之助(講談社現代新書)
大学退官し当面物書きをするに当たって、文章修行として一日一言語、計90言語についてアイウエオ順に、平等に同分量、好悪の隔てなく書いたエッセイ集。
わたしこの人好きだなあ。
>>エッセイにどこまでの説得力があるか、なんともいえないのだが、読んでいるうちに何か外国語が勉強したくなってくれれば、著者としてはそれで充分なのである。(「はじめに」)
 ええ、なりました。